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戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
十四章 幕間劇
麦穂の気持ち
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たときに、ゆっくりと味合う麦穂にじーっと様子を見る俺。

「・・・・どうかな?」

「美味しい!」

ゆっくりと飲み込んだ麦穂は、目を輝かさせるけど。山菜を天ぷらにしたのは、あまりしないけどね。いつもは魚介類だし。俺は密かにガッツポーズをしていた。

「これまで食べたことのない味ですね。でもとっても美味しい」

「そりゃよかった。山菜好きの麦穂にどうしても食べさせたかったのだ」

「そうでしたか、嬉しいです」

やっとだが、笑顔を見せてくれた麦穂。

「まだたくさんあるから食べてくれ」

「はい」

伸ばしかけた箸が止まり、表情も微笑みが消える。麦穂は箸を揃えて置くと神妙な顔で俺に向く。

「おもてなしありがとうございます。それで・・・・私に何か頼みごとでもおありなのでしょうか?」

やはり鋭いな、でも俺の考えは変わらない。麦穂の目を見ながら言った。

「麦穂、今度一緒にどこかに出かけないか?」

「は?」

「無論今すぐという訳ではない。戦が終わって落ち着いてからになるが」

目を丸くして、麦穂は固まった。まあ突然すぎるのも、仕方がないがな。俺と麦穂は互いに見つめ合って黙っていたが、長い沈黙を破ったのは壬月の笑い声であった。

「な、何を笑うのですか?」

「いやいや、傍から見ていると偉く愉快でな」

「意味も分からず、笑われる方は愉快ではありません」

「それはすまん。それよりさっさと返事をしてやったらどうだ?せっかく一真様が逢い引きに誘ってくれているというのに」

「ええっ!?」

麦穂は俺と壬月の顔を交互に見る。

「一真様、そういうこと・・・・だったのですか?」

「まあな。嫌なら断っても構わんが」

「嫌だなんてそんな!ただ、どうして急に・・・」

「いやなに、最近忙しかったから話してなかったろ。もっと分かり合えたほうがいいかなと思ってな」

冷静に真顔で言ってみた、麦穂は黙ったまま俺から目をそらさなかった。しばらく、黙っていると一筋の涙が見えた。

「麦穂?」

「あ、いえ・・・・これはその・・・・嬉しくて、つい・・・」

微笑みを浮かべて、麦穂は頬に流れた涙を拭く。

「一真様の口から、そのような言葉を聞けるなんて思ってもいなかったので」

「ふふ。鬼の目にも涙か」

「うるさいですよ、壬月様!」

「すまんな、茶化して。さあ、遠慮せずに続けてくれ」

「もう・・・・」

壬月の手前なのか、喋りずらそうだったけど。ひとつ咳払いをしてから真剣な眼差しを向けてくれる。

「一真様。急に取り乱してしまい、申し訳ございません」

「いや、平気だ」

「私はずっと・・・不安だったのかもしれません。自
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