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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
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第三十九話 それぞれの日常
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もがな、セシリアと鈴と簪である。
 もともと彼女らは買い物を続行するつもりだったのだが、二人きりで離れていく紫苑とシャルを見つけてしまい示し合わせたわけでもなく、自然とあとをつけていた。

 セシリアは若干の紫苑に対する嫉妬を含めながら、鈴は純粋に野次馬根性で、そして簪は若干の興味はありつつもただ単に鈴の付き添いで、しかし三人の視線は一様に二人に釘付けだった。

「なんかいい雰囲気ね」
「そ、そうですわね」
「……いい笑顔」

 しかし紫苑が急に見せた笑みを目の当たりにして、三人は毒気が抜かれてしまった。確かにいい雰囲気ではあるのだが、なぜか茶化してはいけないような気がしたのだ。
 故に彼女らはそのまま立ち去ることにし、視線をゆっくりと二人から外した……。

「何をしているのですか?」

 瞬間、目の前につい先ほどまで別の場所で見ていたはずの紫苑の姿があった。

「おおおお姉様!?」
「し、紫音! これはその、ね!?」
「は、はやい」

 紫苑はISを部分展開しハイパーセンサーによる聴覚補正を使用して、気配察知だけでなく彼女らの会話まで聞いていた。自分とシャルが一緒にいることを邪推しているのは途中でわかった。シャルの心境も考えるとその行動は好ましいものではなかったので、少しお仕置きをしようと視線を外した瞬間にISを部分展開して瞬時に回り込んだのだ。

 本来であればそこまではしないだろうし、ましてや部分展開などあり得なかっただろうが、どうやら先の一件でまだ少しだけ気が昂ぶっているようだ。もっとも、一番の理由は性別詐称という脛に傷を持った二人にとって下手に詮索されるのはよろしくないため、釘をさしておきたいというものなのだが……。

「ふふ、無粋な野次馬さんたちとは少しお話しなければいけませんね」

 そう言う紫苑の笑顔は、先ほどシャルに見せたものに負けず劣らずいい笑顔だった。


 
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆  

 

 本来であれば、楽しいデートになるはずだった。もっとも彼女自身はデートなどとは恥ずかしすぎて口が裂けても言えないが。
 だが、あろうことかその相手は他の人間まで誘ってしまった。気付けば、デートの雰囲気など微塵も感じられない、ただの買い物となってしまった。

「はぁ……なぜこんなことに」

 箒は皆と解散したあとに一人嘆息していた。

 最初彼女は、買い物に集まったメンバーを見て憤りしか感じていなかった。
 明らかに一夏を狙っていると思われるセシリアや鈴だけでなく、彼女がもっとも苦手としている存在までいたのだから。

 しかしながら嫌なことばかりではなかった。ノリのいい鈴たちが主導して水着のファッションショーのようなものが始まってしまい、箒も半強制的に水着を試着
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