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第三十九話 それぞれの日常
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はや泣く子も黙るIS配備特殊部隊の面影などそこにはなく、この空間は既に学生の修学旅行の夜のようなノリと化していた。
そもそも相手が女性でいいのかという問題だが、女尊男卑の世の中でありISの操縦者などをしていると自然と接するのは女性が多くなり、そういう関係になることも少なくない。
実際、この隊内でもカップルが存在するとかしないとか。
こうしたやり取りをしている間にも、クラリッサはラウラからその意中の相手のことを聞き出している。
出会いからISでの試合、自分を止めてくれたことから買い物に行ったこと。拙い言葉で照れくさそうに語るその姿は端から見れば間違いなく恋する乙女である。
「それでセシリアという女が教えてくれたんだが、真に認めた女には『お姉様』と言わなければいけないというのは本当か?」
「……なるほど、その者の言うことはもっともです。日本の女学院では上級生を『お姉様』と呼び、さらに年に一回『お姉様の中のお姉様』であるエルダーシスターを決める文化があると聞きます。きっとその方も『お姉様』と呼ぶにふさわしい方なのでしょう」
クラリッサ・ハルフォーフ、彼女こそはアニメやゲームといった間違った知識のみ豊富で、そのせいで日本を勘違いしている残念な人の典型である。
しかし悲しいかな、彼女の周囲は『さすが隊の頼れるお姉様、素晴らしい知識です』などと宣っており、その間違いを指摘する者は存在しなかった。
「そ、そうか。確かに私が真に認めた女など織斑教官以外には一人だけだ……わかった、情報感謝する」
「いえ! 隊長のご武運をお祈り致します!」
通信が切れると同時に、黄色い声があがりお祭り騒ぎと化した。
理由はともあれ、問題も多かった『シュヴァルツェ・ハーゼ』がこの瞬間、確かに一つになった。
さて、海の向こうの自分の隊の状況など知る由もないラウラはというと……。
「なるほど、セシリアの言うことは本当だったか……。な、なら私も西園寺のことを、お、お姉様と呼ばねばなるまい。うむ、なにせ私が認めた相手だからな。いや、待て。それなら織斑教官もか!? ち、千冬お姉様か……悪くはないな。なら西園寺は紫音お姉様だな。ん? 織斑教官がお姉様ならその弟は私の弟にもなるのか……! ふん、まぁいい。意外と骨はありそうだったが私の弟になるからには徹底的に鍛えてやろう!」
絶賛、勘違い中だった。
一夏とラウラは同級生のはずだが、なぜか彼女の中では一夏が弟になることが確定しているようだ。
こうして本人たちのあずかり知らぬところで新たな騒動の種がひっそりと蒔かれたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
紫苑はシャルは、レゾナンスで皆と別れたあとも行動を共にしていた。
と
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