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第三十九話 それぞれの日常
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一のものではあるのだが、これが色恋沙汰に発展する可能性も彼らは否定できなかった。
そもそもこの男が気になると公言した存在自体が稀有なのだから。
このとき、すでに蘭はまだ見ぬ宿敵に闘志の炎を燃やしていた。
一方、知らぬ間に謂れのないライバル認定をされてしまった某男子は盛大なクシャミをしていたという。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……は?」
ドイツ国内軍施設にて訓練中だったIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』にこの日、激震が走る。それは突如として舞い込んだ一つの通信が原因だった。
「い、今なんとおっしゃいましたか……?」
それを受けたのは、この隊の副隊長であるクラリッサ・ハルフォーフ大尉であった。隊内最年長であり、専用機『シュヴァルツェア・ツヴァイク』を所持する隊の『頼れるお姉様』である。
そんな彼女がこの通信には動揺を隠せずにいた。
「だ、だから気になる女がいる」
通信の相手は、『シュヴァルツェ・ハーゼ』の隊長でありながらその性格が災いしてしまい、隊内での人間関係が上手くいっていない、ハッキリ言えば浮いた存在であるラウラ・ボーデヴィッヒだった。
もちろん、クラリッサ達は隊での活動に私情など一切持ち込みはしないがそれでも扱いにくい相手ではあった。そんな微妙な相手からのプライベート通信だ。クラリッサは困惑しつつも応じたのだが、ラウラからの衝撃発言で今までの彼女に対する感情などすべて吹き飛んだ。
「……念のため確認しますがそれは織斑千冬教官のことでしょうか?」
「あ、いや、違う。確かに教官のことも気になるが……今回はべ、別の相手だ」
その言葉に、クラリッサはたまらず訓練中の全隊員に対してサインを送った。
【緊急事態発生、至急救援求む】
通信を受ける彼女の様子に、ただ事ではないと感じた隊員達はすぐさま周囲に集まり続く指示を固唾を呑んで待つ。
【隊長に恋の兆しあり】
続き、筆談で情報を隊員へと流す。隊員達はクラリッサに渡されたメモを廻し読みをし、全員がその内容に色めき立った。
あのラウラ・ボーデヴィッヒが、である。やはり彼女らもラウラのことは決して好ましくは思っていなかったが、こうなってしまえばただの女子である。その恋の応援をすることも吝かではないというのが隊全体の空気となった。
しかし、続いて渡されたメモを読んでそれ以上の衝撃を受けることになる。
【ただし、相手は女性の模様】
だが衝撃は一瞬、すぐにクラリッサを含むこの場にいる全隊員はアイコンタクトを取り合い隊の意思を統一する。その連携の早さたるや隊発足以来、最速だったとか。
『全力で隊長の恋を応援する』
それが彼女らの出した答えだ。
も
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