第百二話 教会にてその五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「残念です」
「ですが命はです」
「はい、助かりました」
「今の一撃を受けていれば」
「終わっていました」
闘いだけではない、大石の命もだというのだ。
「完全に」
「そうでしたね」
「そうでした、しかし」
「靴の裏をなくしただけで済みました」
これで、というのだ。
「そう思って下さい」
「プラス思考ですね」80
「そうです、今の一撃でも助かりましたので」
「よしとすべきかと」
「そうですか」
「少なくともダメージも受けていません」
靴の裏、それを失っただけでというのだ。
「ですから」
「はい、闘います」
大石もこう聡美に言葉を返した。
「そうさせてもらいます」
「それでは」
「さて、どうするべきか」
大石は一旦後ろに戻った、着地して怪物と再び正対してだ、そのうえで怪物の攻撃がまた来たのを観た。
「ここは」
「それでもですね」
「はい、勝ちます」
必ずという口調での言葉だった。
「そうします」
「それではですね」
「勝ちますので」
こう言ってだ、そしてだった。
大石は再び怪物と対峙した、その彼に対して。
エキドナは今度は自分からだった、一気に。
間合いを詰めてきた、そうして。
まずはその蛇の尻尾を繰り出してきた、その一撃でだった。
大石を吹き飛ばそうとする、その一撃に対して。
大石はまた上に跳んだ、だが。
エキドナはその大石に対して身体を伸ばしてきた、妖艶な美貌のその顔に凄みのある笑みを浮かべてだった。
爪を立ててきた、今度は人間のそれでだった。
空中の大石を引き裂こうとする、その右手の五本の爪が。
大石の神父の服を左斜め下から右斜め上に切り裂いた、急所は身体をのけぞらしてかわした。だがその切り口とだ。
切り口が瞬時に焦げていくのを見てだ、彼はわかった。
「毒、ですか」
「エキドナは蝮です」
今度は声が言ってきた。
「蝮の女です」
「そうした意味の名前ですね」
「はい、ですから」
「だからですね」
「エキドナには毒があります」
そうだというのだ。
「それも相当な毒が」
「ヒュドラーやケルベロスの毒も」
ここでだ、大石はわかったのだった。
「遺伝ですか」
「そうです、テューポーンも然り」
テューポーンの頭は普通の頭ではない、百の竜の頭が人間のものがある筈のそこに生えているのだ。その竜の頭もだというのだ。
「毒があります」
「つまりケルベロス達の毒は」
「親から受け継いだものです」
テューポーン、そしてだった。
「エキドナからも」
「だからですね」
「そうです、エキドナにもまた毒があります」
「しかもこの毒は」
「ケルベロスやヒュドラーのもの以上です」
母であるだけにだった、彼
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ