第百二話 教会にてその四
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「少なくとも今の姿では」
「テューポーンが夫ですから」
両手を広げれば大地の端と端に届くとさえ言われていたあの巨人だ。その巨人を夫とするだけに、というのだ。
「大きくもなれます」
「そうですね」
「しかし今はです」
「この大きさですね」
「そうです、しかし力は」
「そのままですね」
「神は身体の大きさを変えられますが」
その姿自体もだ、聡美にしてもそれは同じだ。
「しかし力の大きさは変えられません」
「それはですね」
「はい、ですから」
「私は神と闘い」
「神に勝たねばなりません」
まさにそうしなければというのだ。
「今から」
「そうしましょう、それでは」
大石は聡美のその言葉に頷いた、そうして。
怪物に対してだ、まずは。
その手にしている剣を一閃させた、そのうえで鎌ィ足を放った。それは怪物の身体を右肩から左の脇まで斬った、しかし。
その刃を受けてもだ、怪物はというと。
全く動じていない、それを見て大石は言った。
「今の一撃は挨拶代わりでしたが」
「通じていませんね」
「挨拶にもなっていませんね」
まさにと言う大石だった、聡美に対して。
「全く」
「その様ですね」
「そういうことですか」
大石は今の鎌ィ足は効果がないことがわかった、それでだった。
今度は続けて、幾度もだった。
無数の鎌ィ足を放った、それで怪物を数で攻めようとした。一撃で駄目ならば幾度も攻撃を浴びせようというのだ。
しかしだ、そのどれもがだった。
怪物には通じなかった、平然とさえしていた。
それを見てだ、大石はまた言ったのだった。
「今の攻撃は流石に少しは通じる筈でした」
「普通の怪物ならですね」
「ケルベロス位なら」
地獄の番犬であるこの怪物ですら、というのだ。
「ダメージを受けていましたが」
「あのクラスの怪物でもですね」
「はい、何とかなっていました」
「しかしですね」
「相手が違います」
あのケルベロスと比べても、というのだ。エキドナは。
「何しろそのケルベロスの母なのですから」
「そういうことですね」
「ですから」
「この攻撃が通じないなら」
大石は無数の鎌ィ足が通じなくともだった。諦めても心を沈ませてもいなかった。目は全く死んでいなかった。
そしてだ、その目でだった。
怪物を見てだ、そのうえで。
礼拝堂の床を蹴った、そして。
宙のぎりぎりのところを駆った、その上を飛びだった。
怪物に向かう、それは賭けるよりも速く。
怪物に突き進む、それから剣に風の力を宿らせてだった。
剣を突き出した、だがその大石に。
怪物は悠然とした笑みを浮かべて一撃を放ってきた、それは蛇の尾でのそれだった。
蛇の太い尾の一撃、それを横か
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