第百二話 教会にてその三
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「少なくとも自分から死ぬつもりはありません」
「戦いでも」
「病、死に至る病や突然の不慮の事故で死ぬことはあるでしょう」
そうした死は受け入れるというのだ、彼にしても。
しかしだ、そうではない戦い等での死はというのだ。
「それは神が定められたものではないから」
「だからですね」
「私はこの戦いでは死にません」
「生きられますね」
「そうです、生きて」
そしてというのだ。
「神にお仕えしていきます」
「わかりました、それでは」
「はい、最後の戦いに勝ちます」
微笑みながらも強い声での言葉だった。
「必ず」
「ではそうする為にも」
声が大石に言った。
「今から勝って下さい」
「はい、それでは」
大石は声の言葉に静かに頷いた、そしてだった。
その手に剣を出した、彼の剣を。それと共に。
声も怪物を出してきた、その怪物はというと。
黒い長い髪の女だった、顔は整っており妖艶であり髪は豊かで腰を遥かに超えて相当な長さで身体にまとわりついている。
問題はその腰だ、どうなっているかというと。
蛇だった、大蛇だ。その大きさは美女の上半身と比較して相当な長さだ。腰から下は十メートルはあろうか。
その異形の美女を見てだ、大石は言った。
「ラミア、いえ違いますね」
「エキドナです」
それが怪物の名だというのだ、エキドナは紅く光る目を大石に向けて牙が見える唇を妖しく微笑まさせている。
「この怪物は」
「あらゆる怪物達の母ですね」
「そうです」
「テューポーンを夫に持つ」
「タルタロスとガイアの間の娘です」
そう言われている、尚テューポーンは実の兄にあたる。兄妹婚はあらゆる神話にありギリシアでもそうなのだ。
「そしてタルタロスとガイアは」
「どちらもギリシアの古代神ですね」
「そうです」
「だからこのエキドナも」
「神です」
それになるのだった。
「純粋な」
「そうですね、では」
「はい、貴方も神と戦ってもらいます」
こう大石に告げた声だった。
「そうしてもらい」
「勝てばですね」
「降りても構いません」
こう大石に告げたのだった。
「その時は」
「わかりました、それでは」
「今からですね」
「はい」
「闘いをはじめます」
大石は自分から言った。
「今から」
「では私はです」
聡美がここで大石と声に言ってきた・
「最後まで見させてもらいます」
「立会人を務めて頂けるのですね」
「そうさせてもらいます」
こう両者に言ったのだった。
「そうさせてもらって宜しいですね」
「はい、構いません」
「私もです」
大石と声はそれぞれの言葉で聡美に答えた。
「それではですね」
「今から」
「闘います」
こう言ってエキドナ
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