第七十四話 冬化粧その三
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「謙信さんもやってたのよ」
「上杉謙信さんなあ」
「あの人のことは知ってるわよね」
「戦国時代のゲームでいつも出てるからな」
その方面ではトップクラスの有名人だ、とにかく強いことで知られている。
「俺も知ってるよ」
「謙信さんお酒大好きでね」
「坊さんだっただろ、あの人」
「それでも飲んでてね」
「いいのかよ、そんなことして」
「般若湯ってことになってるから」
仏教用語も弟に話す。
「だからお坊さんでも飲んでいいのよ」
「そういえばお坊さん結構お酒飲んでるか」
「何だかんだでね」
「だから謙信さんもか」
「そう、飲んでたの」
尚謙信は信仰心が篤かったことでも知られている。毘沙門天を信仰しその教えから一生妻帯しなかった程だ。
「それもいつもね」
「大酒飲みだったのかよ、あの人」
「無類の酒好きだったらしいわよ」
「へえ、何かイメージ違うな」
「あれっ、謙信さんていったらお酒でしょ」
「お坊さんだから飲まないと思ってたんだよ」
弟はそう思っていたというのだ。
「そういうのは」
「ところが違ったのよ」
「般若湯飲んでたんだな」
「そうなの、それも相当ね」
「それで梅干で飲んでたのか」
「他にはお塩とか」
敵に塩を送る、は謙信の逸話の一つだ。とはいっても実は信玄は海のある駿河に攻め入った時の話なのでこれはおそらく史実ではない。
「そういうのと一緒に飲んでたのよ」
「質素だったんだな」
「そうね、今から見るとね」
「それで姉ちゃんもか」
「こうしてね」
謙信と同じ飲み方で飲んでいるというのだ。
「あの人は縁側でお月様を観ながらってのが多かったらしいけれど」
「風流だな、おい」
「そうね、私なんていつもお部屋の中で飲むからね」
「最近飲み過ぎじゃね?姉ちゃん」
弟は画面をに顔を向けながら姉に言った。
「ちょっと」
「それ昨日お母さんにも言われたわ」
「実際にそうだしな」
飲み過ぎだというのだった、弟もまた。
「一体どれだけ飲んでるんだよ」
「とりあえず一日一升にすることにしたわ」
飲むにあたっての量も弟に話した。
「これからはね」
「一升ってどれ位だよ」
「一・八リットルよ」
弟にリットルでの量も話した。
「それ位よ」
「大体ペットボトル一本か」
「それ位よ」
「やっぱり飲み過ぎだろ」
それ位飲めばと言う弟だった。
「俺ペットボトルでそんなに一気に飲めないよ」
「それはジュースとかお茶で、でしょ」
「幾ら喉が渇いていても一リットル飲んだら凄いよ」
弟は小学生の飲む量から話す。
「それ以上はな」
「まあジュースとかだとそうよね」
「お酒だといけるのかよ」
「別に一気に飲まないから」
その一升も、というのだ。
「少
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