『ちょこっと日常』A
第八十話
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とかが必要なときにはすぐに作れる。
「知に富む偉大なる物とかは使わないんですか?」
「アレはむしろ、使いませんね。人の頭の中を覗くって、そこまでいい感覚じゃないですし」
知りたくないようなことまで流れ込んできて、イヤになってくるからな。
といいつつ、必要になったら何も考えずに使ってるんだけど。
「後は、堅牢なる大親分を携帯代わりにするくらいですね」
「携帯代わりに?」
「ええ。・・・試しに使ってみますか」
俺はそう決めて、言霊を唱え始める。
「今ここに、我は太鼓を打ち鳴らす」
その瞬間、虚空から太鼓の音が響きだした。
「我は音に合わせて術を使い、音の数で狸を使い分ける」
そして、一回打ち鳴らされたところで音は止まる。
「一の音は白。我が声を届ける、白き狸」
そして、開いている左手を前に出し、掌が上に来るようにする。
「現れよ、白坊主」
その瞬間、ゆで卵のような白い楕円形のものが俺の手の上に現れる。
「なんだか・・・可愛い、ですね。これが?」
「ええ。俺の声を届けてくれる、そんな狸です。・・・今度、庶務さんのところに送ってみましょうか?こんな距離で使っても意味ないですし」
「あ・・・はい。お願いします」
よっぽど気に入ったらしく、庶務さんは掌の上に乗っている白坊主を撫でている。
そういえば、庶務さんの心からの笑顔って見るの始めてかも。
そう思って見ていたら、庶務さんと目があった。
「あの・・・どうしたん、ですか?」
「あ、いえ。可愛らしく笑っているんだな、と思いまして」
「ふぇ!?」
そして、庶務さんはうつむいてしまった。
あー・・・あそこまで直接言ったせいで、機嫌を損ねちゃったのかな?
しばらく無言で、気まずい雰囲気が流れたところで庶務さんが「あの!」と、勢いよく顔を上げる。
「なんでしょうか?」
「この間、鈴の体質に手を加えてくれたじゃないですか」
「?・・・ああ、浜辺でのことですね」
俺は一瞬思い出せなかったが、少し考えて思い出した。
確かにあの時、俺は庶務さんの体質に・・・呪力を溜め込めない、という体質を弄った。
けど、それがどうかしたのだろうか?
「あ・・・もしかして、何か不都合とか・・・?」
「いえ!そうではないんです!むしろ、お礼を言いたいくらいで・・・」
「お礼?」
何でお礼なのだろうか?
「その、ですね・・・あれから鈴、少し体質が変わったんです」
「体質が変わった・・・?あ、もしかして」
「はい。呪力を、溜め込めるようになりました」
そう言って笑っている庶務さんの顔は、とても嬉しそうだった。
「・・・まさ
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