2ndA‘s編
第七話〜悲しい怒り〜
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リビングを出る際にそれだけを言い残し、ライは今度こそ出て行った。
数秒後、その部屋に女性の泣き声と繰り返される謝罪の言葉が響いたが、それはライの耳に届くことはなかった。
マンション・エントランス
自己嫌悪に陥る思考を振り払うため、夜の冷えた外気に当たりたいと言う欲求のせいか、自然と足を早く動かす。
肩で風を切るような歩行速度は、一人の少女の声で完全に停止した。
「あ、あの!」
「……?」
あと、数歩で外に出られたことを惜しみながらも振り返ると、そこになのはが立っていた。ライを追うために走ったのか、その小さな方は大きく上下に動いていた。
「なに?」
「え?えっと、あの、その……」
ライの言葉はいつもと違い突っぱねるような物言いになっていしまい、話しかけてきたなのはを怯ませてしまう。
(何をやっているのだか……)
自省をしながらも、ライは少し表情を柔らかくしなのはが言葉を紡ぐのを待つ。
幸い、子供であるが故にライのその表情の変化を敏感に察した彼女は少し詰まりながらもハッキリと告げた。
「あ、あの、リンディさんもフェイトちゃんもアルフさんも家族を大事に想っています!だから、その、ライさんが言ったことも正しいんですけど、えっと、誤解しないであげてください!」
「……ッ」
彼女の言葉にライは泣きそうになる。
自分たちが理想とした『他人に優しくできる世界』を自然とできる彼女がどうしようもなく愛おしく感じるライであった。
涙を零さないよう必死に見栄を張り、ライはなのはの頭を数回ポンポンと乗せるように頭を撫で、「わかっているよ」と言う意味を込めて笑みを返す。
それだけを行い、今度こそライはそのマンションをあとにした。
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