2ndA‘s編
第七話〜悲しい怒り〜
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抉れた溝のような傷があり、そして左手には右手のように火傷は無いが同じような傷が引かれていたのだ。
これはライがビルの屋上から逃げる際にできた傷であった。
火傷はシグナムからの斬撃を鉄パイプで弾いた時に、彼女の炎熱変換の熱量が鉄であるパイプを伝い彼の手のひらを焼いた為についたもの。そして抉れた溝のような傷は、生身の手でワイヤー降下の減速を行った際にできたものである。
どちらの傷も魔法無しで戦争を行っていたライにとっては見慣れているとまでは言わないが、特に深刻視するほどのものではなかったのだが、非殺傷の魔法に慣れきっていた魔導師組はグロテスクで見慣れていない傷に大わらわになった。
傷を負った本人が割と冷静であった為に傷の治療をしてもらえるように頼み込んだことで、その場は何とか沈静化することができ、今に至るといったところである。
手の消毒と傷薬を塗布し、ガーゼを被せ、包帯を巻いていく。
一連の動作を行うのは、バリアジャケットから私服に戻ったフェイトであった。
流石に怪我した状態の手を自分で手当するのは難しい為、ライが誰かにやって貰うことを頼んだ際に彼女が自分から進んでそれを引き受けたのだ。
「包帯、きつくないですか?」
「……うん、丁度いいみたいだ」
巻き終えた手を離し質問してくる彼女の問いに、ライは手を軽く開閉させながら答える。
「ありがとう」
「いえ、これぐらい……アルフ、救急箱を」
「わかったよ」
フェイトは傍らに座っていたアルフに救急箱を渡し、それを片付けてもらう。
その光景を眺めながら、ライは自分の中の疑問を解消するために質問をし始めた。
「随分と慣れているけど……ここはハラオウンさんの家だよね?」
「あ、その、私も此処に住んでいるので」
「失礼だけど、苗字が…………」
このマンションに訪れるまでに、個々の自己紹介は済ませていた。その際にライの知っている名前と一致しなかったのが、目の前にいる彼女である。
「あの、最近私を引き取って貰って、リンディさんが私の、その、新しいお母さんになるんです」
遠慮がちに、だが、ハッキリと喜の感情を浮かべて、彼女は本当に大切そうにその事を告げる。
それを聞いてライは反射的に謝りそうになるが、彼女のその表情を見て同じく笑顔を返すだけにしておいた。
ハラオウン家・リビング
ライの手の治療もひと段落し、今度こそこの場に集まった全員でライの事情聴取が行われることとなった。
ライは今、リビングにて返却されたアッシュフォード学園の制服の上着を羽織っている。それの返却の際になのはとフェイトが最初の襲撃について、感謝の言葉を送ってきたのをライは素直に受け取っていた。
「それではライ・
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