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打球は快音響かせて
高校2年
第四十七話 けじめをつけろ
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らな。下位打線にしても、もう少しは打ちたいだろ」
パシッ
「兄貴でさえ帝王大の4番なんだから」
ポイッ
「俺が三龍の6番なのはおかしいってか?」
パシッ
「それ、暗に三龍は帝王大以下って言ってますよね」
ポイッ
「言い出したのはお前だろ」
パシッ

テンポ良く2人の練習は続く。京子が不恰好な投げ方ながら、ストライクゾーンに投げ続けられるのは、やはり兄の福原にキャッチボールに付き合わされてきたからか。

「野球に一生懸命になってくれたのは、マネージャーのあたしからしても嬉しいんですけどね」
ポイッ
「ん?」
パシッ
「最近、青野さんのメールとか無視してるでしょ。直接会っても冷たいらしいし。」

ブンッ!

宮園はど真ん中を大きく空振りした。
京子の言った事は図星だったようである。
実に分かりやすく動揺した。

「……な、何でお前がそんな事を……」
「女の子同士って、噂が広まるんは早いんですよー。それに、ほら、光君顔だけはええけ、話題に上がりやすいし。」

ま、顔は良いのに、何であんなに偉そうでキモいのかなって話になるんですけど。京子は余計な一言をしっかり付け加え、宮園の精神を削りにかかる。
京子は仁王立ちして、宮園の顔をビシッと指差した。

「夏まで野球がおもんなかったけん、光君からしたら適当に作った彼女かもしれませんけど、相手はそうは思ってませんからね!そういう、男の都合で女の子使い捨てるのなんて、あたしホント許しませんから!」
「むぐぐ……」

宮園は、京子がプライベートなはずの問題に口を出してくる事に微妙にイラついたが、しかし痛い所を突かれているので、何も言い返せない。
宮園にしてみれば、青野を彼女にして、それはとても軽い気持ちで付き合い始めたのだけど、存外の面倒臭さにずっと閉口し続けていたのだった。そして今は、振るのすら面倒臭い。あのお花畑の青野の事だから、泣いて喚いて、実にやかましいはずだ。それに、青野の取り巻きの女達からゴチャゴチャ言われるのも嫌だった。今のような放置プレイを続ける訳にはいかず、いつかけじめはつけなければいけないのは分かっているが、しかしできる事ならこのまま自然消滅してくれたらなーと思っていたのも事実だった。

「……これやからイケメンは」
「アカンわなー。」
「なっ!枡田に鷹合!聞いてたのか!?」

ちょうどその時物陰からニヤニヤしながら枡田と鷹合が出てきた。京子に責められて狼狽している最中に、この城都人2人の組み合わせ。宮園は目の前が真っ暗になる。

「女に対して不誠実なんはあきませんよねー」
「ホンマやでー。相手に傷付けるとか男の風上にも置かれへんわ」
「…………」

2人がニヤニヤと絡みついてくるので、宮園の顔から冷や汗が垂れる。と
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