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打球は快音響かせて
高校2年
第四十七話 けじめをつけろ
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浅海にまだ球種を増やすのは辞めておけと言われ、秋の大会直前は、とにかく怪我から自分の感覚を戻すのに必死。秋が終わって、やっとじっくりと投球の幅を広げにかかる事ができる。そして、翼が投げようとしているのはスクリュー。南学の3番手、知花が投げていたその威力に惹かれた。しかし、スクリューは操り手の少ない、とかくに投げにくい球である。

「……スライダーとかカットボールとかは、時間かけなくてもすぐ投げれるようになるかなって。難しい球に時間かけたいし」
「……呆れた。お前も言うようになったな。」

宮園が強く返したボールを、翼は高い音を響かせて捕球した。

(しかしまぁ、間違ってもねぇんだよなぁ。こいつ、やっぱ指先器用だし。スライダーを投げようと思えばすぐ投げれるってのも、あながち嘘とも言い切れない。)

宮園がミットを構える。
そこに黙々と、翼は腕を振って投げ込んでいった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「行きますよー」

京子が、肘の下がった女の子投げでバドミントンのシャトルを投げる。シャトルは空気抵抗によりユラユラと揺れながら、バットを構える宮園の下へ。

パシッ!

宮園がバットでその軌道を捉えると、鋭く飛んだシャトルが京子の頬を掠めた。

「あっぶな!光君の下手くそ!何であたし向かって打つん!?」
「うるさいなー。ピッチャー返しはバッティングの基本だろーが。」

憤慨する京子に、面倒臭そうに返事をする宮園。
京子は足下に置いた、シャトルの入ったコンテナを抱えて背中を向けて歩き出した。

「光君が自主練ぼっちやけん、付き合うてあげてたんに、そげな事するならもう無理ですー。手伝ってあげませんー。」
「分かった分かった!次から気をつけて打つから!お前しか居ないんだ!頼む!」

宮園が慌てて京子の小さな背中を追いかけると、京子は振り返ってべー、と舌を出す。
年下のこの幼馴染には、宮園もタジタジであった。

全体練習終了後の自主練習。宮園は長い事サボっていた事もあって、一緒に練習する相手が居なかった。太田は翼とペアで、美濃部と越戸はピッチャー用の練習がしたい為、野手の宮園の打撃練習には付き合ってくれない。渡辺は1人黙々と素振りする時間を大事にするし、鷹合とは練習以前に一緒に居るのが疲れる上、最近では枡田とコンビを組んでしまった。後輩達は、尊大な宮園を避けていた。よって、宮園がシャトル打ちの手伝いを頼めるのは、寮生では京子だけだったのである。

「仕方なし、ですよー。行きますよー。」
ポイッ

宮園の頼みを聞いて、京子は再びシャトルを投じる。宮園のスイングがまたシャトルを捉え、鋭く弾き飛ばした。

「最近、よく練習しますよねー。」
ポイッ
「秋は2割台だったか
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