第六章
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けれどだ、本当に僕達にとってはだった。
「残念ですね」
「そんなに将軍様ネタ好きか」
「はい、大好きです」
実にはっきりとした返事だった。
「ネタとして」
「そうか、まあ次がな」
「息子さんですね」
「どんな人かわからないからな」
「あんなネタになる人いないですよ」
物真似でも何でもだ。
「偉大なネタ師が死にましたね」
「独裁者が死んだんだぞ、喜ばないのか」
「それはそうですけれど」
確かに将軍様は独裁者だ、けれど。
僕達にとってはまさにネタの提供者だ、それでだった。
僕達はそうした意味で偉大な将軍様が死んだことに残念なものを感じた、もう真似をしたりして笑えないのかと思い。
それで数日の間こう言い合った。
「死んだんだな、本当に」
「あんな笑える人いなかったのにな」
「もうネタ楽しめないか」
「トロとかメロンとか」
「そうしたこともな」
「ネタに出来ないか」
「喜び組も」
そう思うだけでだった。
僕達は残念だった、折角小学生の時からネタにしてきたのに。
それでだ、お互いにこう言い合うのだった。
「折角ネタにしてきたのに」
「それがなあ」
「いきなり死ぬなんてね」
「将軍様は俺達を置いていったんだな」
「一人だけ地獄に落ちたのね」
あの将軍様が天国に行けると思っていなかった、誰一人として。あれだけのことをやってどうして天国に行けるのか。
「俺達だけ置き去りにして」
「自分だけ地獄に落ちて」
「もうネタを提供してくれないんだな」
「二度と」
そう思うとだった、僕達は。
残念で仕方なかった、それでだった。
どうしても後ろ向きに考えてしまいだ、こう言うのだった。
「次の将軍様なあ」
「あの将軍様の息子だよな」
「三男さんだっけ」
「そうじゃなかったの?」
僕達のこの辺りの知識は曖昧だった、とりあえずあの将軍様が実はあの山で生まれていないらしいとは聞いている。
「どの奥さんの子供だったかしら」
「さあ、あの人子沢山らしいけれど」
ハーレムを持っている、それなら当然のことだろう。
「詳しいことわかってないからね」
「相当女好きだったらしいけれど」
「まあとにかく息子さんが後継ぐのよね」
「共産主義国家としておかしいけれど」
このことは僕達もよくわかっている、誰もあの国は『共和国』とは流石に思っていない。出来損ないの王国としてもネタにしてきた。
それでだ、こう話すのだった。
「世襲だから、あの国」
「息子さんが後継ぐのね」
「今度の将軍様どんな人だか」
「どっちにしてもおかしな国だし」
「ネタには出来るんじゃ」
けれどだった、あの将軍様の様にはだった。
「あそこまでネタに出来る人かな」
「おばさんパーマでやたら美
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