第四章
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った、そのうえで。
二人の話を見ていた僧侶達にだ、こう話したのだった。
「学ぶこともじゃ」
「それもですな」
「そのこともですな」
「うむ、囚われることがあるのじゃ」
サッチャラーンの様にというのだ。
「悟りを開くことが御仏の教え、しかしじゃ」
「悟りを開くことにばかり執着しては」
「それでは」
「ああなるのじゃ」
こうだ、瞑目して言うのだった。
「因われてな」
「そうでしたか」
「それであの方は残られていたのですか」
「ああして」
「修行も学問も大事じゃ」
悟りを開く為にだ、このことは欠かせない。しかし幾ら欠かせないことであってもだというのだ。
「悟りにな。しかし悟りを目指すことに囚われてはならぬ」
「でしたか」
「そうなのでしたか」
「そういうことじゃ。難しいことじゃがな」
瞑目したままだった、タムリットは言うのだった。
「悟りに囚われぬことじゃ」
「わかりました、そうですか」
「悟りにも囚われるのですね」
そしてそれもまたあってはならないというのだ、皆タムリットの言葉に頷くのだった。タイに古くからある話である。
妖僧 完
2014・1・30
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