第四章
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「それでだぎゃ、うちもだがや」
「引き出ものを売るだがや」
「そうするといいと思うだぎゃ。どうじゃ?」
「いいと思うぎゃ」
遥も海老の天麩羅を食べつつ応える、天麩羅には八丁味噌をつけている。
「それで」
「それではぎゃ」
「たっぷり売りゃーーす。それと」
「それと?」
「今年はドラゴンズの調子がいいぎゃ」
遥が言うのはこのことだった。
「それでだぎゃ」
「ドラゴンズの服も売るがや?」
「お父さんに言ってみるだぎゃ」
そうするというのだ、遥の父が社長である。
「そうするだがや」
「それからだがや」
「正幸さんの考えもお父さんに言うだぎゃ」
遥は正幸の提案についてもこう言う。
「そうして派手に売るだぎゃ」
「名古屋には名古屋の売り方があることがやっとだぎゃ」
「わかってきただがや」
「そうなったでりゃーーす」
まだたどたどしい名古屋弁で言う正幸だった。
「それではだぎゃ」
「引き出ものにドラゴンズ」
「その二本立てだがや」
これでいくというのだ、普段は金をあまり使わない名古屋人にとうやって金を使わせて収入を得るか、それを考えてのことだった。
それでだ、店の社長であり遥の父である正幸の義父に社長室で遥と共に提案してみた。すると高木守道を温和にした感じの顔の彼が笑顔でこう言ってきた。
「よし、それはいいでりゃーーす」
「お父さんもそう思うだぎゃ」
「そう思うだぎゃ」
その通りだとだ、社長は娘の言葉に応えた。
「おみゃーーのドラゴンズもいいだがや」
「うちの旦那のもだがや」
「ええだがや」
今度は正幸に顔を向けて言った言葉だ。
「それで行きゃーーす」
「結婚式のウェディングドレスに」
それにだとだ、正幸も言う。
「引き出ものの服に」
「結婚のものとやるといいだがや」
まさにそれならとだ、社長も言う。
「それで行きゃーーす」
「ドラゴンズは」
「やっぱり帽子だがや」
社長が最初に言ったのはそれだった、しかも。
年配の名古屋人らしくだ、こうも言うのだった。
「歴代の帽子を揃えるだぎゃ」
「歴代!?」
「歴代だがや」
「今の帽子だけでは駄目だがや」
それ故にだというのだ。
「昔の帽子も売るだがや」
「ドラゴンズなら」
「あのドジャースが真似した帽子もだぎゃ」
正確に言うとドラゴンズがドジャースの真似をした。実は九十年代や二千年代のドラゴンズの帽子は本当にドジャースにそっくりだ。あの伝説の左腕コーファックスの現役時代のユニフォーム姿は名古屋ドームで見ても違和感はない。
「あれも売るだぎゃ」
「あれ私も好きだがや」
遥もここで満面の笑顔で言った。
「売るといいだがや」
「よし、では大攻勢だがや」
社長は笑顔で言った。
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