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名古屋攻勢
第三章

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「また違うな」
「そうでしょ、違うでしょ」
「そしてこれをか」
「売るのよ」
「そうだな、じゃあ売り方はな」
「喋り方は東京のそれは止めてね」
 ここは重要だとだ、遥は言葉を確かにさせてきた。
「いいわね」
「名古屋弁か」
「東京弁は駄目なのよ、だから今から」
「今から」
「私も喋り方変えるわね」
 そうすると言ってだ、早速だった。遥はその喋り方を変えてきたのだった。
「こうするんだがや」
「あっ、名古屋弁か」
「あなたも喋ってみるでりゃーーす」
 本当に名古屋弁で話す遥だった。
「これで売るんだぎゃ」
「そうか、それじゃあな」
「はじめるだぎゃ」
「わかった、それならだがや」
 無理してだ、正幸は遥に応えてだった。 
 自分も名古屋弁を使ってみて売りにかかる、最初は戸惑ったが周りは全部名古屋弁だ、そして店にかける音楽は。
「変わった曲だな」
「ええだがや」
「名古屋ばかり言ってるだぎゃ」
 無理して名古屋弁を使って言う。
「凄い曲だがや」
「名古屋はええよだぎゃ」
 これがこの曲の名前だというのだ。
「やっとかめって」
「まんまだぎゃ」
「そうだがや。歌ってる人も名古屋だぎゃ」
「つぼいノリオさんの声だがや」
 正幸はすぐにわかった、このことが。
「あの人が歌ってるだぎゃ」
「そうだがや。うちはこれとドラゴンズの曲だがや」
「それがお客さんを呼ぶだがや?」
「そうだがや」
 まさにそうだというのだ。
「名古屋の人は普段はお金をあまり使わないだがや」
「けちだがや?」
「お金を使わないだぎゃ」
 そうなるというのだ、正幸も名古屋人は金を使わないことを知っている、それで言ったのだが遥はこう返してきた。
「しっかりしてるだがや」
「そう言うだがや」
「そうだぎゃ」 
 ものは言いようではあるがだ、遥はこう言うのだった。
「だからだがや。こうして音楽でもお客さんを呼んで」
「そうしてだぎゃ」
「売るんだがや」
「そういうことだがや」
「じゃあこれからも」
「派手にだがや」
「こうした曲かけるだぎゃ。名古屋の人は郷土意識が強いだがや」
 そこを刺激してだというのだ、こうしてだった。
 正幸はその目で名古屋の商売の仕方を見て知るのだった、その商売の仕方は東京とは全く違うものだった。
 そのことに最初は戸惑った、だが。
 次第に慣れてきた、それで自分からもだった。
 家で遥と共に晩御飯のおかずの海老の天麩羅を食べながらだ、こう言うのだった。
「結婚する人にだがや」
「何だがや?」
「名古屋は結婚式は派手だがや」
 このことがわかってきた言葉だった、とはいってもその名古屋弁はまだまだたどたどしく東京の訛りがある。
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