第四章
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「到底ね」
「そうですよね、これは」
「ちょっとないですよ」
「巨人が本当にいたんでしょうか」
「聖書等にある」
「わからない、ただ」
それでもだとだ、スミドロノフは眉を顰めさせつつその氷の山の中にいる途方もなく巨大なものを見上げつつ話していく。
「これだけ大きい生物は地球上には」
「いたかどうか」
「それすらですね」
「大発見になるよ」
「恐竜でもですね」
「ここまで巨大なものは」
スタッフ達もここで冷静に考えて言った。
「有り得ないですね」
「ウルトラザウルスとか以上ですよ」
「洒落にならない大きさですよ」
「うん、大発見だね」
このことは間違いないというのだ。
「生物学上の」
「それに変な外見ですね」
見付けてきたスタッフはここでその氷の中のものをまじまじと見て言った。
「よく見たら」
「確かに。あちこちに何か出ている?」
「牙?爪に似ているな」
「奇形かね」
「膝とかに」
そこだと思われる部分にだった。
「それに頭部かな、あそこは」
「何だ?何かくっついてるのかな」
「烏賊みたいだな」
「蛸じゃないのか?」
「随分おかしいな」
「変な形だな」
暑い氷の中なのでよく見えない、しかしその中で何とかシルエット程度でも見られるその姿はなのだ。
「随分とな」
「おかしい形というか」
「妙だな」
「何なんだ、これは」
「とにかく」
今ここで考えても仕方ないと判断してだ、スミドロノフがスタッフ達に言った。
「この氷の山のことは報告しよう」
「政府にですね」
「そのことを」
「そしてね」
そのうえでだとだ、さらに言うスミドロノフだった。
「この氷の山は我々では持って行けないから」
「然るべき大きさの船でもう一度来て」
「そのうえで、ですね」
「うん、ロシアまで持って帰って」
そのうえでだというのだ。
「詳しく調査しよう」
「そうですね、それでは」
「まずは報告するということで」
こうしてだった、スミドロノフが話をまとめるとだった。
ここでだ、彼等のところにだ。
一人の男が来た、その男は極寒の北極には似つかわしくない軽装だった。
黒いローブを思わせる服を着ていて黒い髪を短くしている。左手はやけに巨大で禍々しい指が見える。そして右手には大鎌を持っている。
その彼が来てだ、こう言ったのだった。
「ここにいたか」
「うん、やっと見付けたね」
男の左肩の上に何かが出て来た、それは黒い大きなボールだった。左右に蝙蝠の翼が生えていて真ん中には単眼がある、それが出て来てだ。
男にだ、こう言うのだった。
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