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不細工な王様
第七章

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「素晴らしい方だから」
「外見とか全然抜きでね」
「本当にそうよね」
「あんないい方普通の世界でもそうそうおられないわよ」
 こうまで言うアズチェンナだった。
「神父さんにも神官さんにもお坊さんにもね」
「いないわよね、あそこまでお心が綺麗な方って」
「滅多にね」
「そうでしょ、だからね」
 それでだというのだ。
「私もそう思えてきたわ」
「お心ね」
「王様はそれがお綺麗なのね」
「そうじゃないかしらね、本当に顔はよくてもって奴はいるから」
 それでだった、そうしたことを話してだった。
 アズチェンナはそれからも王様を見た、すると見れば見る程だった。
 王様がどれだけ素晴らしい方かわかった、そして遂に結論を出した。
「王様は素晴らしい方よ」
「本当になのね」
「そうだっていうのね」
「ええ、確信したわ」
 アズチェンナは今は仕事の休み時間の中で話している、王宮の喫茶コーナーで自動販売機を前にして缶ジュースを飲みながら話をしている、この王宮にはこうしたものもあるのだ。
 そこで缶の林檎ジュースを飲みながらだ、同僚達に言うのだ。
「あの方は性格よ」
「性格なのね」
「それが素晴らしいのね」
「そうなのよ」
 まさにだというのだ。
「ずっと見てきたけれどね」
「わかったのね」
「確信出来たのね」
「ええ、出来たわ」
 完全にだというのだ。
「わかったわ」
「やっぱりお心がなのね」
「素晴らしい方だっていうのね」
「それで王妃様はいつも仰っているのね」
「お心がお綺麗だっていうのね」
「よく言われることだけれど」
 それでもだとだ、アズチェンナは言う。その林檎ジュースを実に美味そうに飲みながら。
「やっぱり人は外見じゃないのよ」
「心ね」
「ハートなのね」
「そう、性格が男前かどうなのよ」
 これが女性だと美人になる。
「性格男前なのよ、王様は」
「男前っていうか聖者よね」
「その域に達してると思うわ」
「そこまでの方だからよ」
 聖者とまで言われる人だからだというのだ。
「王妃様は仰るのよ」
「王様は本当にお綺麗だって」
「お心なのね」
「そうなのよ、わかったわ」
 アズチェンナはにこにことして話していく、
「本当にね」
「顔がよくても性格最悪だと意味ないしね」
「というかそれ駄目だから」
 同僚達も頷く、そうした話をしてだった。
 アズチェンナはあらためて王様を見た、今の彼女には王様はとても綺麗な人に見えた。この世で、も類稀なまでの。


不細工な王様   完


                              2013・11・23
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