第四章
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第四章
彼は満足していた。そしてだ。テナントになっても来てくれる老人に対してだ。礼を言わずにはいられなかったし実際に言った。
「有り難うな」
「礼はいい」
老人は彼のそのホットドッグを食べながら言うだけだった。今ではフランクフルトやアメリカンドッグもある。ドリンクも種類が増えてバイトの店員も雇っている。
その賑やかさを増した店の前でホットドッグを食べながらだ。彼は言うのだった。
「美味いホットドッグを食わせてもらってるからな」
「けれどそれを作らせてくれたのはあんただぜ」
「わしがか」
「ここを提供してくれたからな」
にこりとしてこう老人に話す。
「だからな」
「だからか」
「そうだよ。本当に有り難うな」
そしてまた礼を言うのだった。
「お陰で今があるぜ」
「何、よいことじゃ」
「それであんたも前はここでホットドッグ屋をやってたんだよな」
「昔はな」
「昔っていってもほんの半年前までだったんだろ?」
これは老人から聞いた話である。何度も話しているうちにこのことも聞いたのだ。
「そうなんだろ?」
「そうじゃ。半年前じゃな、本当に」
「最近までやってたんだな」
「今は静かに余生を過ごしておるよ」
「そうか。もう店をやるつもりはないんだな」
「子供は全員家を出たし連れも死んだ」
こうギリアムに答える。
「何もすることはなくなったしのう」
「何だ、もう天涯孤独かよ」
「そうなるな。だから今はここであんたの美味いホットドッグを食わせてもらう」
「サービスしとくぜ」
商売人の顔になって笑っての言葉だった。
「それじゃあな」
「ああ。美味いものを食わせてくれ」
こんな話をしながら日々を過ごしていた。そしてそんなある日のことだ。毎日決まった時間に店に来ていたあの老人が不意に来なくなった。この日は最初から最後まで来なかったのだ。
ギリアムは閉店の時にだ。赤髪の青年にだ。いぶかりながら言うのだった。
「爺さん来なかったな」
「そうですね」
「何でだ?」
いぶかりをそのままに言った。
「何で来なかったんだ?」
「病気ですかね」
青年は少し考えてから述べた。
「それで、ですかね」
「歳だしな、あの人も」
「そうですよね。下手したら」
「ああ、大丈夫かな」
少し心配しての言葉だった。だが、であった。
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