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不細工な王様
第一章
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                 不細工な王様
 銀河に進出した人類の殆どを占める連合の一国であるケベック王国の国王ヒギンズ三世はお世辞にも顔はよくない、野暮ったい目にやけに膨らんだ頬、そしておちゃぼ口である。肌も常に荒れていて髪の毛も薄く乱れている。
 ついでに言えば丸々と太っていて短躯で短い脚はガニ股だ、先祖代々容姿は冴えないがこの王様はとりわけだった。
 しかしだ、王とは違い美貌の王妃エトランデは常にこう言っていた。
「王様はとてもお綺麗な方です」
「えっ、王様がですか」
「とてもですか」
「そうです」
 その絵画、それも美人画から出て来た様な整った顔で言う王妃だった。いつも周りの驚いた問いにこう返すのだ。
「あれだけお綺麗な方はそうはおられません」
「そうでしょうか」
「あの、王様のお顔は」
「それにお姿も」
「どうにも」
 皆王の顔立ちには疑問符で返す、誰がどう見てもだというのだ。
「それでもですか」
「王妃様はそう思われますか」
「王様は」
「そうです、とてもです」
 綺麗だというのだ。
「私はそう思います」
「だからですか」
「お好きなのですね」
「愛されているのですね」
「そうです」
 愛しているとだ、王妃ははっきりと答えた。
「私は王様と一緒になれてよかったです」
「ううん、王妃様がそう仰るのならいいですが」
「私達は」
 周りは王妃の言葉の意味がわからなかった、それは新しく王宮に雇われた女官であるアズチェンナ=トラマコもだった、茶色の長い髪を左右に三つ編みにしたソバカスが顔にある丸眼鏡の少女だ。黒と白のメイド服そのままの女官の服をいつも着ている。
 その彼女がだ、首を傾げて同僚に尋ねるのだ。
「どうして王妃様は王様を綺麗と仰るのか」
「それがよね」
「わからないっていうのね」
「ええ、まあこの王宮に雇ってもらえたけれど」
 実は高校を卒業してすぐに王宮に入った、女官を募集しているのでそれに応じたらすぐに採用してもらったのだ。
「王様御自らの面接でね」
「王様腰低かったわよね」
「全然偉そうじゃなかったし」
「何か中小企業の面接みたいな感じでね」
「屈託もなかったわね」
「ケベックって結構大きいけれどね」
 連合の中では大国である。
「それでもね」
「そうそう、明るい感じでね」
「気さくだったわよね」
「何か自然で」
「偉そうでもお高く止まってるのでもなく」
「厳しくもなく」
「いい雰囲気だったわね」
 同僚の娘達も国王自らの面接で採用してもらったのだ。
「確かに」
「王様らしくなかったっていうか」
「本当に中小企業の社長さんみたいで」
「それもいい意味でね」
「そんな感じだったわね」
「けれどよ」
 それでもだとだ、アズチェン
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