第二章
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「そのことはね」
「じゃあ僕もだよね」
「悪口ばかり言ってるとね」
それでだというのだ。
「悪い顔になるから」
「気をつけないと駄目だね」
「そうよ」
「じゃあこの人も」
子供はまた床間を見て言った、
「このままだと」
「そう、悪い顔になるわよ」
「今でも時代劇の悪人みたいな顔なのに」
「もっと酷くなるかもね」
悪口ばかり言っているとだ。
「確かにこの人の人相は悪いわね」
「そんな風にならないといいけれど」
子供は床間を観つつ思ったのだった。しかし床間の発言も文章も変わらず場道や誹謗中傷ばかりだった。
彼は何も学ばなかった、マルクス主義もだ。
ある漫画家とだ、こんな話をした。
「やっぱり世の中は駄目だ」
「僕はまずマルクスから入るんだよ」
その漫画家が言うのだった。
「いつもね」
「そうだよ、マルクスなんだよ」
今もだ、こう言うのだった。
「僕はね」
「そうなんだね」
「マルクスなんだね」
「そうだよ、マルクスなんだよ」
こう言ってだ、彼はマルクス主義にこだわるばかりだった。経済評論家としてはこんなことばかり言っていた。
しかしマルクスもだ、それも。
「十九世紀の経済だろ」
「今は二十一世紀だぞ」
「それでマルクスか」
「あの漫画家も大概だがな」
今尚マルクスを金科玉条としているその漫画家についても言われる。それで持て囃されること自体が戦後日本においてマルクスの呪縛がどれだけ強力かということか。少なくとも世間から乖離しているマスコミや知識人の世界では。
「それであいつもか」
「そのマルクス漫画家と楽しそうに対談してるのを見るとな」
「まだマルクスなんだな」
「マルクス背負ってるんだな」
「古いな」
「古いにも程があるな」
ただ古いだけではないというのだ。
「化石だろ」
「あれじゃあも今の経済は語れないな」
「古過ぎてな」
「何時の学生運動家だ」
床間は丁度その世代だ、べ平連等の。
「あそこから一歩も成長してないんだな、頭が」
「いや、六十年安保からだろ」
それよりも前だ、学生運動よりも。
「あの頃から左の連中は一歩も成長してないんだろ」
「進歩してないんだろ」
そうした状況ではだ、例えテレビや雑誌で経済のことを言ってもだ。マスコミ関係者や知識人は頷いてもだ。
読者や視聴者はマルクスなぞ過去の遺物だとわかっている、それでだった。
彼等もだ、こう言うのだった。
「今時マルクス?」
「マルクス経済学?」
「共産主義とかって頭大丈夫か?」
「何時の時代の話だ」
「ソ連はもうないのに」
それこそその頃に終わっている話だった、だから彼等は床間の経済についての主張は気に止めなかった。流石にそれでは読者も視聴者も振り
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