第二章
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第二章
「ホットドッグも美味いしな」
「そうだろ。じゃあもう一個食うか?」
「そうさせてもらうよ。腹が減ってるしな」
「毎度あり」
笑顔で返す。黒い肌に白い歯が見事に映える。彼は店になっているその車の中からホットドッグを次々に出す。ワゴンのその後ろをカウンターにしていてそこにメニューや値段を書いた紙を掲げている。そこで応対をしているのだ。
彼はマンハッタンで気軽に商売を楽しんでいた。そんなある日のことだ。
その彼のところにだ。ふと一人の老人が来た。見れば背中が曲がっていて小柄な。肌がやや黒いはっきりとした目の老人であった。
その彼がだ。ギリアムのそのホットドッグを食べてだ。こう言うのであった。
「美味いな」
「当たり前だろ」
彼は明るく返した。老人に対してもだ。
「俺のホットドッグはニューヨーク一だぜ」
「ニューヨーク一か」
「そうさ、ニューヨーク生まれのニューヨーク育ち」
このことも自分から話すのだった。
「だからニューヨークの味はよくわかってるのさ」
「そうなのか」
「そうさ、それで気に入ってくれたんだな」
「確かにな。いい味じゃ」
「じゃあもう一個どうだい?」
さりげなくこう誘うのだった。
「もう一個。サービスしとくからな」
「そうじゃな。それではもう一個な」
「ああ、貰うか」
「毎度あり」
こうして老人はもう一個頼む。そうしてまた食べるのだった。
老人はこうしたことを一週間続けてきた。次第に顔馴染みになりだ。ギリアムも彼に親しく声をかけるようになっていた。
そしてだ。その中でだ。老人はこの日もホットドッグを食べていた。それを食べながら言うのだった。
「さて」
「どうした?」
「あんたこのままずっとここでいるのかな」
こうギリアムに尋ねてきたのだ。相変わらず店になっている車の中でホットドッグを調理して店の前に置き売っている彼に対してだ。
「ここにな」
「ああ、そうさ」
ギリアムは笑顔で老人の今の言葉に応えた。
「ホットドッグ屋が俺の天職だしな」
「天職か」
「親から受け継いだ店だけれどな。それでもな」
「合っているというのじゃな」
「食い物料理するの好きだしな」
老人にこうも話してみせた。
「だからな。ずっとここでやっていくさ」
「左様か」
「それでいいよな」
そしてだ。老人に対して問い返すのだった。
「別に悪いことはしていないしな」
「いいさ。ただ」
「ただ?」
「店を持つ気はないか?」
ギリアムの顔を見ての言葉だった。
「店をじゃ」
「店ならこの車がそうなんだけれどな」
「いやいや、屋台ではなくしっかりとした店じゃ」
そちらだというのである。
「ストアじゃよ」
「ストアか」
「その店を持つ気はないか
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