第三章
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ですか」
「武勲を祈っておる」
こうも言う老人だった。
「それで今のわしじゃが」
「さっきも言いましたけれど」
「うむ、近頃大阪で妖怪が出ているとな」
「そうです、それでご老人がです」
「わかっておる、その噂の出処はわしじゃ」
全てがわかっているという返事だった。その顔もだ。
「わしが夜の大阪の街を忍術を使いながら闊歩しているせいじゃ」
「わかっておられたんですね」
「わかっているとも。忍の耳は地獄耳じゃ」
このことも誇らしげに言う老人だった。
「千里先の針が落ちる音も聴こえる」
「じゃあ噂話も」
「聴こえておる」
実際にそうだというのだ。
「何でもな。聴かぬと決めたら聴こえぬが」
「それはまた便利な耳ですね」
織田が聞いてもだった、老人の耳は実に便利なかつ都合のいい耳だった。聴きたくないことは聴こえなくなるというのは。
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