第一章
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とはいっても行った場所は難波ではないが。
「つまらんしな」
「そやったら二人でな」
妻の一枝に言った。
「行こか」
「そうしよな」
「デートをしながら化けもん探しか」
「それも一興やろ」
一枝は笑って自分の夫に言う。
「襲い掛かってきいひんってことやし」
「まあな、ただ急に出たり消えたら。難波とかみたいな賑やかなとこやったら」
「それだけで大騒ぎやな」
「人前でそんなんあるんかいな」
「それが夜らしいねん」
その時間に出たり消えたりするというのだ。
「何でもや」
「夜かいな」
「そや、真夜中の十二時位にや」
「またお約束の時間やな」
その時間帯と聞いてだ、織田は行きかけた足を止めた。そのうえでもう一度座布団の上に座って言うのだった。
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