『孔雀』と『雪風』
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伊坂が自分に協力をすると言っているならば、契約のルーンの有無など大した問題ではないと判断した。
彼女に必要なのは彼の圧倒的な、彼自身は不本意なその力なのだから。
そして、程なくして彼は知ることになる
召喚されたのが自分だけでは無いことを。
自身を『倒す』だけではなく『封印』する力を持つ存在がこの世界にいることを。
「…それが、『仮面ライダー』…貴方のあの姿って訳…ね」
ルイズの呟きに、そうだ、と頷く橘。
医務室で横になりながら語られた橘の話を聞き終え、ルイズは軽く目を瞑りうつむいた。
あらかた治ったとはいえ、体に残る痛みまでが完治した訳では無い。
まだ、安静にしていろと言うルイズの言葉に甘え、決闘の翌日も橘は医務室のベットで過ごしていた。
その傍らに寄り添いながら、ルイズと橘は漸くゆっくりと話し合う機会を得ることが出来た。
とはいえ、実際は橘の話をルイズが一方的に聞いていただけの事だ。
自分の今までの事など話す価値もないし、聞かせたくも無い、そんな彼女の事情もあった訳だが。
ともあれ、橘の話は自分の常識を遥かに越えていた。
異世界から来たこと、『仮面ライダー』という存在、そして使命、友を救いたいという橘の願い。
「だから、ルイズ、俺はずっとこの世界にいるわけにはいかないんだ、使い魔の仕事とやらも、俺に出来ることなら手伝おう、だから君も俺が元の世界に戻れるよう手を貸してくれないか」
「………………」
真剣な橘の視線と語られた事情。
それに対して自分は何を言えるのだろうか。
あれだけ、散々に扱き下ろし無体な目にあわせた自分を
それでも一言たりとも責めること無く協力を要請する橘に
自分は、今更何を言えるのだろうか。
返したくない?ずっと自分を護って欲しい?
…遅い、遅すぎる。
そんな図々しい言葉を紡ぐには何もかもが遅すぎた。
だから、力無く頷く。そうするしか無かった。
「ありがとう、君ならわかってくれると信じていた」
何を根拠にそんな事を言っているのか。
苦い思いを感じる。
だが、ルイズの思考は、些か乱暴な音をたててドアを開け入ってきた二人に中断される事になる
「ふ、相変わらずだな…橘」
「…?!…貴様…伊坂!?」
召喚当初、橘と自分はずっと怒鳴りあっていたし、初めて食堂でご飯を与えた際も睨まれた。
だが『イサカ』そう橘が呼んだ男を睨む彼の目は、それ以上に鋭く『怖い』ものだった。
初め、伊坂は橘を殺す事も当然視野にいれていた。
だが、そうも出来ないのには事情があった。
一つは主たるタバサに大きい騒ぎを起こしてほしくないと言われた為。
だが、これは大した理由では全
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