第3章 聖剣の影で蠢くもの
第29話 無職の龍神
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「武器が強かろうと、扱う人間がヘボなら脅威じゃない」
「木場の言う通りだな」
シグナムという師を得て、飛躍的な成長を遂げた木場にとって、並の使い手では相手にならない。
一誠にしても、禁手化という切り札を使わずとも、悪魔の力と通常の倍加で、うまく戦う術を心得ていた。
彼らの努力の成果でもあり、シグナムやはやてたちの教え方がうまかった証左でもある。
特に、一誠の成長は目覚ましい。
もはや、原作の彼とは比較することすらおこがましいだろう。
彼の努力もあっただろう。
だが、それ以上に、八神はやての行った秘策の成果でもあった。
『少し前まで素人に過ぎなかった相棒が言うと皮肉にしか聞こえんな』
「まあ。そうかもな。八神さんのアレは、反則だよな」
アレとは、夜天の書に蓄積されたデータを元に、彼女が作ったオリジナル魔法『ファンタズマゴリア』である。
この魔法は、相手を幻想世界に誘い込み、精神のみでの活動を可能にするというものだ。
レーティングゲームの前にも、ずいぶんとお世話になった。
ライザーとの戦いのあとも、一誠たちは、幻想世界内で、八神家の面々とひたすら特訓に明け暮れた。
幻想世界では、どんなに長時間過ごしても、現実世界では、ほんの数瞬にすぎない。
これが、グレモリー眷属が急激に実力を上昇させた秘密だった。
「さて、君たちの聖剣は、破壊させてもらうよ」
木場は、逸る気持ちを抑えて、聖剣へと向かう。
一応、奇襲などを警戒はしておく。
しかし、情報によれば、コカビエルが主犯だったはずだ。
けれども、彼はこの場に現れない。いや、正確には、「現れることができない」
「向こうも部長たちがうまく抑え込んでいるみたいだな。作戦成功」
一誠が安堵の息とともに、声を出す。
リアスたちが、コカビエルを挑発している間に、聖剣を破壊するという作戦だ。
彼女たちは、どうやら足止めに成功したらしい。
別働隊の木場と一誠が、本命の聖剣使いを撃破したというわけだ。
作戦を立案し、実行したリアスの手腕は、褒められてしかるべきだろう。
――と、そのときだった。
突如、何かが飛来し、轟音とともに、一誠たちとエクソシストの間を土煙が舞う。
「何だと!?」
辺りが晴れると、そこには――誰もいなかった。
「くそっ。逃したか。部長たちが失敗した様子はない。と、すると――新手がいるな」
◆
「やあ。聖剣とエクソシストたちを返しに来たよ」
凛とした空気に似合う言葉づかいをした少女が、ふらりと現れて言う。
「お前は……何のつもりだ?」
「なに。お近づきの印に手土産を、と思ってね
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ