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『八神はやて』は舞い降りた
第3章 聖剣の影で蠢くもの
第29話 無職の龍神
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ける。
 『無限の龍神』なんて大層な名前がついているようにはとても見えない。
 それでも、内に秘めた膨大な魔力にあたしは気づいていた。
 はやての話す原作の中で、1、2を争う強さを誇るのだから当然ともいえる。
 だからこそ、和んでいても隙は見せないようにしていた。
 それはほかのメンバーも同様だが、はやてだけは気づいていないようだった。
 まあ、あたしたちとはやてでは、くぐった修羅場の数が違うのだから仕方ないだろう。


「我、寝ている」

「ニートじゃねえか」


 思わず口に出してしまう。
 一瞬むっとしたような顔をしたオーフィスが問い返してくる。


「……そういうヴィータこそ何をしている?」

「う、あ、あたしは、その、近所のじいちゃんたちの相手をだな……」


 藪蛇だった。見事なブーメランである。


「我、組織のトップ。部下が働く。だから、我、働かなくていい。我、働いたら負けかなと思っている」

「どう言いつくろうがニートじゃねえか。そうだ、『無職の龍神(ニートドラゴン)』なんてどうだ?」

「ヒモのヴィータに言われたくない」


 その後言い合いになったところで、はやてが「明日の夕飯抜きにするよ?」といい笑顔で言ってきたために、お開きとなった。
 くそ、あたしはニートじゃねえ。ヒモでもねえし。





 木場祐斗と兵藤一誠は、3人のエクソシストと戦っていた。
 敵は全員が聖剣で武装している。
 まず間違いなく教会から奪ったエクスカリバーだろう。
 本当は、新たに武装を容易した紫藤イリナとゼノヴィアも一緒に行動するはずだった。
 

「イリナたちは、聖剣の破片を奪った犯人を捜索中で来られない、か」


 目の前のエクソシストをドラゴンショット――射撃魔法のようなものある――で、吹き飛ばしながら愚痴を吐く。
 木場祐斗に破壊された2本のエクスカリバーの破片は、イリナとゼノヴィアが厳重に保管しているはずだった。
 だが、現実として、破片は奪われ、犯人は明らかになっていない。
堕天使陣営だと、推測しているが。


「僕としても、破片を奪った犯人は警戒すべきだと思う。彼女たちが部屋にいるにも関わらず、破片がなくなっていたんだ。何らかの神器である可能性が高い」

「事前の情報にないってところが、厄介だな」


 木場と戦っていた一人は地に伏し、最後の一人もたったいま一誠が殴り飛ばした。
 

「な、んだと……!?聖剣持ちを3人も相手に回して、なぜ余裕なんだ!?」


 それぞれが7分の1の力しかないとはいえ、エクスカリバーは伝説級の聖剣である。
 それを、三本も同時に敵にして、普通は圧勝できるはずがない。だが。


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