暁 〜小説投稿サイト〜
『八神はやて』は舞い降りた
第3章 聖剣の影で蠢くもの
第29話 無職の龍神
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
第29話 無職の龍神


目の前から発せられる圧倒的な強者の気配。ボクは戦慄していた。
見てくれは改造ゴスロリに身を包んだ少女でしかない。
だが、その外見に惑わされてはいけない。
なぜなら、彼女は――


「――『無限の龍神(ウロボロスドラゴン)』オーフィス……!」


 『無限の龍神』とは、この世界の頂点に位置する存在である。
 そんな存在が突然現れたのだ。
 うららかな夕飯前のひとときを過ごしていたボクたちにとって、青天の霹靂だった。
 デバイスを持ち、騎士甲冑を展開したボクたちは、戦闘態勢でもって警戒する。
 ピリピリとした緊迫が伝わるような空間で、下手人は、悠然としていた。
 ボクが八神はやてとして生を受けてから、一番緊張しているかもしれない。
 そして、彼女が言葉を紡ぐ。


「我の名前しっている?我、八神はやてに協力してほしい」

「グレートレッドを倒すためかい?」


 少しだけ目を見開いて、そう、と肯定するオーフィス。
 グレートレッド――オーフィスとともに世界の頂点に立つ生物。
 もともと「次元の狭間」にいたオーフィスを追い出して、そこに居座っている。
 追い出されたオーフィスは、お家を取り戻そうと、仲間を求めた。
 その集まりこそ――禍の(カオスブリゲード)。平たく言ってテロリスト集団である。
 オーフィスは、八神家にその禍の団に入ってほしいらしい。
 どこから、ボクたちの情報を集めてきたのか。
 おそらく、レイザー相手のレーティングゲームでハッスルし過ぎたのが原因だろう。


「仮に、禍の団に入ったとして、キミは何か対価をくれるのかい?」

「……我、何を渡せばいい?」


 悩むような気配をみせるオーフィス。
 当然だろう。出会ったばかりの相手が何を望むのかなんて、わかるわけがない。
 だから、要求を口にする。


「キミの力が欲しい」





 夕食なう。


 あれからオーフィスとの取引に成功し、禍の団入りを決めた。
 晴れてテロリストの仲間入りである。
 お仲間との顔合わせは後日。
 用が終わるとさっさと退散しようとするオーフィスを引き留め、親睦会を開催する。
 親睦会とはいっても、一緒に夕食を囲むだけだが。
 そのオーフィスはというと――


「おかわり」


 ――物凄い勢いで食べていました。
 はぐはぐ、と擬音がつきそうなほど、一生懸命食べている。
 なんというか、想像していた無限の龍神とは違う。
 もっと恐ろしい存在かと思えば、意外と可愛らしい。
 張りつめていた守護騎士たちも、毒気を抜かれたのか、いつも通りの風景が戻ってきていた。
 いつでもボクを守れるように、キリリとして
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ