第60話 幾ら力が欲しいって言ってもあり過ぎて良い訳じゃないよね
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のだ。なのに何故だろうか? 鉄槌の騎士の心は何時までも重く沈んだままであった。
やがて、地上に居た殆どの殺人メイドを飲み込んだ後、その光は消えてしまい、後に残ったのは巨大な穴であった。
***
徐々に意識が戻って来る。その際に体に感じたのは全身を強打した痛みと、言い様のない疲労感だった。そして、目を開けると、目の前に居たのは銀時とたまの二人だけだった。
「やっと起きたか?」
「あ……あれ?」
「立てるか? って言ってもまだ無理そうだな」
そっと銀時がなのはを抱き抱える。未だになのはの頭はくらくらしており、状況の把握が出来ていない。
「此処は? それに、源外さんや神楽ちゃん達は?」
なのはが尋ねると、銀時もたまも答えを渋った。何故即座に答えてくれないのか?
疑問に思ったなのはは銀時の腕から離れてよろよろと歩き出した。
そして見てしまった。今自分達が居たのは巨大なパイプ管の中であり、そして其処から見える外の光景は正に絶句と呼べる光景だった事を。
「こ、これは……」
言葉がなかった。目の前に広がっていたのは滅茶苦茶に破壊されたパイプの群れと、天井に大きく開いた巨大な穴だった。
その部屋自体がかなりの損傷を被っている。まるで、何か巨大なエネルギーで吹き飛んだかのような―――
「あ、あぁっ! あああぁぁぁっ!」
その光景を目の当たりにして、なのはは思い出した。そう、この惨状を引き起こしたのは自分だったのだ。あの時、咄嗟に取り出した大砲を発射したが為にこの惨状が出来上がってしまったのだ。
だが、それだけではない。あれを発射した際に自分の体に妙な高揚感を覚えた。
そう、それはなのはが両手から閃光を発したときとほぼ同じ現象だったのだ。
つまり、この惨状を引き起こしたのは自分自身。そして、そのせいで神楽や源外、定春やフェイトにアルフ達は皆―――
「なのは、落ち着け!」
「私のせいだ! 私のせいでこんな事に!」
「違う! お前のせいじゃない」
「違くないもん! 私には分かるもん! あの光は、あの時私が両手から出した光と同じ光だった……私が、私が―――」
なのはが泣き崩れた。視線は動揺の余り右往左往しており、まるで発狂したかの様に頭を抑えて泣き叫んでいる。そんななのはに必死に銀時は呼び掛けた。だが、その声すら銀時には届かない。今のなのはには銀時の言葉ですら届かないでいるのだ。
「私が、私があんな光を出そうなんて思わなければ、思わなければ―――」
「しっかりしろ! 自分を見失うな!」
なのはの両肩を掴み、銀時が必死に呼び掛ける。銀時の脳裏に一抹の不安が過ぎる。
なのはが今までに見せなかった精神の崩壊。もし本格
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