第60話 幾ら力が欲しいって言ってもあり過ぎて良い訳じゃないよね
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「不味いな」
土方がふと呟いた。回りを見れば既に何人かの隊士や局員達が傷つき後方へと運ばれて行く光景が見られる。騎士達の顔にも疲れの色が見え始めた。
元々こちら側の世界では魔導師や騎士達は本領を発揮出来ない。常に重しを背負った状態で戦わされてる状態なのだ。
それに加えて相手は向こう側の技術を使う強化型メイドの軍勢。分の悪い戦いであった。
「副長! 既に我が隊の損害が甚大です! このままでは全滅する危険性すらありえます!」
「怯むんじゃねぇ! 俺達が此処で退いたら江戸その物があいつらに蹂躙されるんだぞ! 死ぬ気で守りぬけ!」
怒号を上げて激を飛ばす。とは言う物の状況は厳しい。こちらの戦力は減る一方なのに敵方の戦力は増える一方なのだ。
だが、此処で自分達が退く訳にはいかない。此処で自分達が退けば、奴等は無力な市民達を蹂躙する筈だ。奴等に心などない。奴等はただ与えられた命令に忠実に行動する残虐な殺人鬼達なのだ。
ふと、地面に振動が伝わってきた。地震かと思われたが違った。その振動は徐々に大きくなってくる。それと同時に土方の本能が告げている。
此処に居ては危険だ。すぐに下れ! と。
「土方さん、すぐに隊を下げてください! 此処に居たら危険です!」
「何?」
突如、青ざめた表情でクロノが進言してきた。何時もの彼らしくない慌てた表情だ。
「一体どうしたんだ? それにこの振動は何だ?」
「地面の下から強大な魔力が感知されました。恐らく、魔砲です! それも今まで感知したことがない程の―――」
「……隊に連絡しろ! すぐに此処から下れ! 巻き添えを食うぞ、とな!」
すぐに近くに居た連絡員に伝令を飛ばす。隊士達はそれこそあれよあれよと殺人メイド達から真っ先に逃げ出した。無様であろうと滑稽であろうと構わない。急いでその場から逃げなければならないのだ。
そんな隊士達や局員達を葬ろうとメイド達は不気味な笑みを浮かべながら迫ってくる。
だが、その直後であった。突如メイド達が歩いていた地面が盛り上がりだしたのだ。そして、盛り上がった地面は音を立てて引き裂け、中から飛び出したのは凄まじい程のエネルギーを持った光だった。
その光は付近に居た殺人メイド達を瞬く間に飲み込んで行き、跡形もなく蒸発させてしまった。
その光景を目の当たりにした一同は絶句した。
「お、おい……あれが、お前等の言う魔砲って奴なのか?」
「そ、そうですけど……こんな、あり得ない」
「あり得ないって?」
「魔力量が常識じゃ考えられないんです。とんでもない程の魔力をつぎ込んだ魔砲です。僕だって、こんな常識はずれの魔砲なんて見た事がない。こんなのが撃てる魔導師がいたら、それはもう化け物としか言いようがありませんよ」
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