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クズノハ提督録
クズノハ提督遠足
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さっさと入るぞ」
「あのお姉さんちょっと怖いわ…」
「首がまだ苦しいのです…」
三人は安藤から逃げるようにして扉を開けて入っていった。


「しかしいい匂いだった。反省はしていない」
周りに誰もいなくなったにも関わはさらず、安藤は開き直った様な態度で堂々と独り言を言った。
「提督は相変わらずだね」
…独り言では無かった様だ。






ーー応接室
「粗茶ですが」
「おおありがとう」
「ありがとうなのです!」
「ありがとう五月雨。手伝ってくれて」
「いえいえ、これくらいお任せ下さい」
五月雨(さみだれ)』と呼ばれた艦娘は盆を抱え、気恥ずかしそうな笑顔を浮かべた。
「一応紹介するよ。我が第一艦隊旗艦にして艦隊最古参の五月雨だ。」
「五月雨っていいます!よろしくお願いします」
芝田は少し誇らしげに五月雨の紹介をした。
五月雨は電と同じく就任直後から提督をサポートする艦娘であり、同じく駆逐艦である。
「ところで芝田、他にメンツはいないのか?」
「紹介したいところだけど…多分今部屋で寝てるか、歌ってると思う。」
「そうか。今の内に寝てるってことは…何だ?夜戦でもするのか?」
「あ、馬鹿…」
「え?」

その瞬間、近所一帯に響き渡る程の音を立てながら勢い良くドアが開かれた。


「夜戦!?」


声の主は目をこれでもかという程に輝かせ、芝田に詰め寄った。


「はぁ…ドアを壊さないでくれ。川内」
「今度は壊してないよ!それよりも夜戦!夜戦は!?」
「分かったから、また今度ね」
「また今度…」
川内(せんだい)』と呼ばれた少女はがっくりと項垂れ、先程と打って変わって覇気の全く無い顔で部屋から出ていった。

「…さて何の話だっけ?」
「お前の仲間の話だよ。今のはもしかして軽巡洋艦か?」


軽巡洋艦とは艦船の種類のことで、巡洋艦の中でも比較的軽く小さめの艦船を指す。
駆逐艦は水雷艇(機雷や魚雷、爆雷を用いる船)を駆逐する艦であるのに対し、巡洋艦は遠洋を巡回する能力の高い艦であり、駆逐艦よりも大型となっている。


「彼女は川内型軽巡洋艦一番艦の『川内』だ。夜せ…夜に戦うのが好き見たいでね、さっきの言葉がこの鎮守府内ではほぼ禁句になってるくらいだ」
「ウチには軽巡はまだ早いな」
「軽巡のお姉さんならすぐに来てくれると思うわ」
「資材さえ貯めればですが…」
「ん?資材が無いの?」
芝田は少しだけ驚いた表情で葛葉を見た。
「ああ、無さ過ぎて建造も一回しか出来ない。工廠の妖精さん達も暇してるだろうな…」
「おかしいな…僕が着任した時も少なかったけど、一隻しか作れない程では無かったよ
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