禁断の果実編
第71話 答え合わせ side紘汰
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
舞ともども呆然と座り込んでいると、ガレージのドアが開いた。
入ってきたのはチャッキーとペコだった。
「紘汰さん! よかった、目が覚めたんですね」
チャッキーもペコも笑顔でアーチを潜り、階段を降りて、紘汰に駆け寄った。
心配してくれた礼も言わねばならないが、それより先に確かめねばならないことがある。
「なあ、チャッキー、ペコ。オーバーロードを探してるみんなの中には、咲ちゃんもいるのか?」
「え、いますけど」
何故、と真っ先に思う。咲は紘汰への協力をやめたはずなのに。貴虎のように、紘汰から離れていったはずなのに。
「すごいんですよ、咲ちゃんっ。新しく、空を飛べるロックシードで変身したって。だから戒斗たちと一緒に、空から怪物を探してるんですっ」
「空……」
コドモが一番に見る夢。サガラが言っていたのはそういうことだったのか。
「けど、何で……ヘキサちゃんのことがあるのに」
そこで、ずっと黙っていたペコが、突然頭を下げた。
「ごめん、紘汰! 俺、ヘキサちゃんがどうなったか、多分知ってる」
「え?」
ペコの唐突な謝罪に、紘汰はもちろん、舞やチャッキーも目を白黒させている。
「前にインベスが出た時、ヘキサちゃん、ケガしたんだ。インベスに引っかかれるか何かして。なのに、普通はヘルヘイムの植物が生えてくんのに、ヘキサちゃんにはそれがなくて。ヘキサちゃんがユグドラシルに行ったの、多分、その後だ。俺にメールで、『ユグドラシルに専門の人がいるから診てもらいます』って。それからメールも電話もちっとも出なくなって」
「専門って……まさか、戦極凌馬?」
言い上げ、ペコは再び頭を下げた。
「ごめん!! ヘキサちゃんに、言わないでって言われて……ヘキサちゃん、戦ってるザックの邪魔したくないって。ずっと言えなくて……ごめんっ」
繋がる。紘汰の中で、今日まで意味を成さなかった咲の行動の全てが。
(ただ捕まってるだけじゃない。戦極凌馬に本気で、実験体として、人質に取られてる。どこに閉じ込められてるか、今どこにいて何をされてるか分からない)
本気で隠される。それだけがこんなに、親しい人間の心を折る。
(咲ちゃんだけじゃない、貴虎も。脅されてああしたのかもしれない)
――“一度あいつの立場になって本気で考えてみろ”――
(本気で考えられたはずだ。だって俺は一度姉ちゃんを人質に取られたことがあった。知ってたはずなのに!)
紘汰は新しいロックシードを握り締めた。
サガラの言うように、このチカラがどんな結末をもたらすかは分からない。だが、これを持って、気づくための言葉をくれた戒斗の下へ、悩み苦しむ咲の下へ、駆けつけることはでき
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ