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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十三話 要塞建設
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を左右すると言っても差し支えない。黙っていたのはあの当時これを公にすれば騒動の本になると考えたからだ。いや、今でも騒動の本だろう」
何人かが溜息を吐いた。
「同盟の対外純資産高はとんでもない数字になっている。同盟が発行した国債はその殆どが消えた。その代わりに帝国の国債と株が入ってきたのだからな。実体経済とまるで一致していない。役人達は頭を痛めている、景気動向の判断材料には使えないと言っているよ。数字を信じるなら同盟は今空前の好景気という事になる。有り得ん話だ」
ぼやくなよ、レベロ。俺の所為じゃないぞ。大体借金が無くなったって喜んだのはお前だろう。人間って贅沢だよな、常に不満を持つんだから。
「しかしその株を如何使うのかね?」
ホアンが首を傾げている。
「フェザーンでは先日の貴族連合軍の横暴に対して損害賠償を求めるべきだという声が上がっているそうです。加害者の貴族達は滅んでいますから帝国政府を相手に請求する事になるでしょう。二千万人が好き勝手やったんです。ボルテックも殺されている。かなりの額になるでしょうね」
「……」
話についてこれない、そんな感じだな。トリューニヒトだけは楽しそうだ。
「同盟がフェザーンに株を返します。そしてフェザーンはその代償として帝国に対する損害賠償の請求を放棄する」
「……帝国はそれに対してフェザーンの独立を認めるか……」
ホアンの言葉に“ウム”、“なるほど”といった声が上がった。
「或いは株の半分を帝国に譲渡します。経済面で同盟と帝国がフェザーンを支配下に置く。その上で独立を認める」
「なるほど、独立の名誉は与えるが実利は同盟と帝国が握るという事か。君は辛辣だな、フェザーン人にとっては最大の屈辱だろう」
ターレルの言葉に皆が失笑した。別にそういうわけじゃない、どうしてそう捻くれてとるかな……。
「私としては株をフェザーンに返還する方を奨めます。株を持ち続けるのは同盟にとって必ずしも得策ではありません」
皆が不審そうな表情をしている。
「あの株は地球教に利用されないために同盟が接収したという形になっています。地球教の脅威が無くなれば必ず返せとフェザーンは言ってきます。同盟、帝国の分はともかくフェザーンの株は必ず返せと言ってくる。あの株を同盟に握られてはフェザーンは首根っこを押さえ付けられたも同然です。独立など形だけにものになる」
何人かが頷いた。
「フェザーンが議会制民主主義を導入しようとしているのもそれに関係あると考えています」
「……なるほど、個人の独裁を許さない、地球教に付け込まれることは無い、そういう事か」
ホアンが納得したというように声を出した。
「それだけじゃありません。拒否すればフェザーンは同盟は自らの政治体制を信じていないのかと非難してきます。こっ
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