第38局
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9月の半ばを過ぎ、プロ棋士採用試験は10日目が終わっていた。全体の約3分の1が終わったところではあるが、すでに大体の上位陣は固まってきた。
同じ受験生といっても、やはり実力に差はあったのだ。数字の上ではまだまだ成績が下位の者にも逆転は可能ではあるのだが、ここまででほとんど勝ち星を挙げられないものが、この後負けずにいけるほど甘いものではないのもまた事実だった。
ここまでの対戦で、4敗以内の勝ち越しの結果を残しているのは以下の11名。
6勝4敗が、院生の真柴と足立。
真柴は第1戦で塔矢、第2戦で奈瀬、第5戦で伊角、第8戦で辻岡を相手に黒星。
足立は第1戦で和谷、第3戦で奈瀬、第6戦で伊角、第10戦で小宮を相手に黒星。
7勝3敗が、院生の小宮と飯島、外来の辻岡と片桐。
小宮は第3戦で和谷、第8戦で塔矢、第9戦で奈瀬を相手に黒星。
飯島は第1戦で小宮、第4戦で塔矢、第7戦で辻岡を相手に黒星。
辻岡は第3戦で塔矢、第6戦で本田、第10戦で奈瀬を相手に黒星。
片桐は第6戦で塔矢、第8戦で和谷、第9戦で本田を相手に黒星。
8勝2敗が、院生の本田と和谷。
本田は第8戦で伊角、第10戦で和谷を相手に黒星。
和谷は第5戦で辻岡、第9戦で外来の日野を相手に黒星。
9勝1敗が、院生の伊角。
第10戦の今日、塔矢を相手に黒星。
そして、10戦全勝が塔矢と奈瀬の2名だった。
「よ、飯島勝ったみたいだな、おつかれさん」
「真柴か。さすがに院生の下の奴に簡単に負けるわけにも行かないからな。何とか踏ん張ってるよ。おまえは?」
「オレも何とか勝ちを拾ったよ。でももう4敗だからな。ようやく中盤戦開始ってとこなのによ」
「こっちも3敗、似たようなもんさ。しかし、塔矢アキラ。あいつは別格だな」
「ああ、噂以上だよな。今日も伊角さんに危なげなく勝ってたぜ」
「げっ。伊角さんでも駄目だったか…。となると後は、本田、奈瀬、和谷位しか相手になるやつ残ってないのか?」
「和谷は予選であっさりやられたって話だ。もう、塔矢はほぼ決まりだろうな…」
「あーあ。こりゃ今年も厳しいかねぇ…」
「和谷ー、やったじゃん!本田君相手に勝利!今まであんまり勝ててなかったんでしょ!」
「ああ、奈瀬、ありがと。何とか勝てたよ。その様子だと奈瀬も勝ったんだ?」
「ええっ!辻岡さんを倒した!ここまでは絶好調よ!」
「全勝は奈瀬と塔矢の二人か…」
「でも、私はまだ上位陣との対局が結構残ってるからね。塔矢君に伊角君、本田君。そして和谷、あんたともね!」
「…そうだよな。まだ序盤の終わりってとこだ、がんばらないとな」
「お互いにねっ!」
第11戦、小宮が本田に負け4敗、片
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