第七十九話
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河童の神の周りには水が集まっていく。
玉龍もそんな感じだったし、最近水の神に縁深いなぁ・・・そう思いながら、飛んで来る河童どもを槍で牽制していく。
河童は秋になるとひょうすべになり、飛んで山に向かうという。それで飛べるんだろうなぁ・・・
「っと、高圧水流か」
「ヒョウ。貴様ごと貫くつもりだったんだがな」
槍が折られて出来た隙に河童が突っ込んできたので、足で蹴り飛ばして雷で頭の皿を焼く。
さすが河童、それだけで綺麗に消えていくな。
「さて・・・これは、いけるかな」
俺はそう考えながら、あたらしい言霊を唱える。
「我は揺らす。我は全てを揺らす」
言霊を唱えてる間に河童は攻撃をしてくるが、気にせず唱える。
他の権能で防ごうとしても、多分それを貫いてくるから・・・他の方法で防ぐしかない。
「地よ揺れろ。海よ揺れろ。天よ揺れろ。我が眼前に在りし全てよ、我がために揺れつくせ!」
唱えきってから目の前の空間に揺れるよう念じ、水にぶつけて一気に撒き散らす。
揺れでバラけた水が周りの河童を貫いていき、神獣がほとんど消えた。
うん、すっきりしたな。
「ヒョウ。・・・またよく分からぬ権能を持っているな」
「そうか?分かりやすくていいと思うけど、な!」
そう言いながら槍を持って突っ込むと、河童は馬を走らせてすれ違ってくる。
馬の俊敏さ、さすがに厄介だなぁ・・・
「我がためにここに来たれ、羽持つ馬よ。我がために我が雷を運べ。我がために天を駆けよ。その為にここに現れよ!」
なら、同じ馬に乗るとしようか。
「我が元に来たれ、ペガサス!」
天から駆けてきたペガサスに乗り、ついでに退路も絶たせてもらうか。
「我は緑の守護者。緑の監視者である。我が意に従い、その命に変化をもたらせ!」
周りに有った植物という植物を操り、抜け道をなくす。
さて、後はどう来るのかな?
「退路を断ち、馬に乗るか神殺し」
「ああ。これで、この場で殺しあうだけだ。・・・そういえば、まだ名前を名乗ってなかったな」
「ヒョウ。確かに。では、最後にお互いに名乗るとしようか」
さすが神様。
ちゃんとこっちの趣向に合わせてくれる。
「神代武双。神殺し歴二年、神代家長男」
「無三殿大神。無三殿川にすむ河童だ」
そして、お互いに獲物を構え・・・ぶつかり合った。
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