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Myu 日常編
私のご主人様
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「はぁ……いい湯だったぁ」
「お、お待ちしておりました冥星さ」
「じゃ、寝るわ」
「そ、そういうかと思って布団は全て私が回収しました!」
「最近お前を本気で殴りたいと思ってしまうんだが」
「も、もう本気で蹴ってるじゃないですか……お尻が痛いです」

 エリザは同室である冥星を正座で待ち伏せていた。冥星の布団を下敷きにして意地でも話を聞かせようとしたが、無慈悲な暴力にあえなく撃沈。無言で布団を奪い取った冥星はそのまま夢の中へと沈んでいく……。

「ぐすっ……どーしてあぶないことするんですかぁ……どーして傷つけるんですかぁ……どーして何も言ってくれないんですかぁ……私、あなたがわからないです……」
「………………………」
「私、バカだから言ってくれないと、わからない……あの手紙には何が書いてあったんですか? 破いたのは他の手紙ですよね? 本当は隠して持ってたんですか? ひどいですどうして言ってくれなかったんですか? 私、ひどいこと言っちゃったじゃないですか」
「だぁぁぁぁぁぁ! うるっせぇな! 人の寝床で泣くな!
「泣きます! 説明してくれるまで泣きます! あなたはひどい! 自分勝手です! これじゃぁ……私はあなたを憎めません……」
「憎ければ憎めばいい。俺はお前を奴隷のように扱う。死にたくなければさっさと逃げるんだな」
「わかりません……あなたは私をいじめます……だけど私を助けてくれました。私は、あなたを信じてもいいんですか? ううん……信じたいです!」

 エリザの目は潤んでいた。その瞳からは宝石のような涙が頬を伝う。
 恥ずかしいことを簡単に口にする奴だなと、冥星は呆れた。信じてもいいんですか? いいとも! と言えばそれで終わりな話だ。
 冥星は、ただ自分自身に向かってくる悪意が、他の者に降りかかることが面白くなかっただけだ。自分の暇つぶしを奪われることは苦痛以外の何物でもない。
 それに、エリザは冥星の作る理想の国に必要な人材だ。従順な雌奴隷が居てこそ、王の品格が保たれるというもの(偏見)だからだ。

「俺はお前を所有物としか見ていない」
「…………はい」
「だから、所有物が傷つけられれば俺は修理しなければならない。奪われたら取り返さなくてはならない」
「え……?」
「俺についていれば万事上手くいく。バカなんだから深く考えるなよ」
「私は……あなたたちの傍にいていいですか?」
「知るか。自分の生きる場所くらい自分で決めろ。ただし、ここに住んでる以上、お前は俺の奴隷だ。一生な」

 鼻を鳴らし、冥星は会話を終了させた。これ以上話すことはないといわんばかりに毛布に包まりさなぎのようにして眠る。エリザはこの数日間で彼の寝顔を一切見たことがない。朝までその繭から出てくることはない。生きているか不安になる
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