私のご主人様
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「はい…………」
態度こそ傲慢だが、確実に弱っていた。エリザにすがっている自分が滑稽で笑い飛ばし、殴り飛ばしたくなったが残念なことに心地の良い安心感の方が幾分も強く、結局のところ何もできない。まるで麻薬だ。油断すれば中毒症になりかねないほど……。
「あまり能力を使うな……気が狂いそうにある」
「ど、どうしてわかるんですか?」
「アホかお前は。俺に精神干渉をしているだろ……下手をすれば廃人になるほどの感情を送り込んでいる。強すぎるんだお前は。俺じゃなかったら死んでいるぞ」
エリザはそう言われると幾分か能力を弱め、穏やかな波長で冥星の心を包み込んだ。へたくそだが確かに心地のよい波が行ったり来たりしている。これはエリザの感情だ。優しくも強い……心の海。
「殺しをしたことがあるか?」
「し、しません」
「殺したいと思ったことは――――ああ、殺したいっていうのは憎しみとか怒りとかそういう意味じゃなくて……本能的な部分での、わかるだろ?」
「わ、わかりません……ないと思います。どうしていきなりそんなことを聞くんですか?」
「いや……やっぱりお前は変わったやつだなと思っただけだ」
エリザの心が戸惑いの感情で満たされていく。その波が冥星にも伝わってくるが、今度は冥星が自らの波を流し込む。いつもどおりの己の感情――――どこまでも平常な機械のような淡々とした波長。揺らぐことのない強い意志。そして――。
「やっぱり、あなたは優しいですね」
「何が……」
「心の隅で、救いたいと思っているじゃないですか。私、これでも精神については敏感なんですから!」
「へぇ……お前、何級指定なんだ?」
「えっと……確か八級」
「ゴミじゃねぇか!!」
「ひ、ひどいですー! 叩かないでください!」
八級などビリから二番目ではないか。そんな奴に自分の心を見抜かれた?
いや、何が救いたいだ馬鹿馬鹿しい。冥星はエリザの手を強引に離し、その頭を叩きまくった。
「す、素直じゃないんですから、もう――あう!」
「黙れくそ奴隷。お前のせいで貴重な睡眠に時間を無駄にした。責任をとれ」
「そ、そんな……私はただ」
「いいわけはいい。明日は全裸で登校しろ、命令だ」
「い、いきなりなんですかその命令は!? 変態じゃないですか!」
「金髪ビッチ、お前にふさわしい名前じゃないか」
「さ、最低ですあなたは―――――!!」
その後、突然夜中に騒ぎ出した冥星たちを明子は、脳天に拳骨を直撃させた。あえなく昇天した二人を見つけたのは朝一番に起きた海星だったらしい。二人は寄り添うように眠っていたとか、そうでないとか。どっちでもいいか。
友情は大切だ。冥星はいつもそう思っている。大切な時に盾にできる仲間。窮地に陥ったときに身
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