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流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
25 冷血の構築者
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ではあるが、反面、ネットナビとしての特質も持つ特殊な人間だと分かれば、文字通りモルモットにされかねない。
彩斗の中ではジョーカープログラムよりも何としてでもメリーを救うことが第一だった。
今でも正気を保っているようだが、スズカの件も重なり、メリーが何かされていると思うだけで気が気でないのだ。
ウェーブロードが使えない、周波数が変えられないとすれば電波人間は常人よりも優れた身体能力を持つだけの人間だ。
その身体能力を持っても車やバイクには勝ち目など無い。
身体的な手段では逃げようがない。

「じゃあ、物理的な手段で逃げることね」

その時、ハートレスは彩斗の悩みを一瞬にして葬り去る言葉を述べた。
その声に含まれた自信からハートレスには自分の思いつかない解決策というものを持っていると確信した。

「物理的...君になら逃げる手段があるって言うんだね?」
「ええ。あなたがその手段を受け入れるかどうかはともかくね」

ハートレスは若干ニヤつきながらコーヒーを啜った。
この笑いにも彩斗は何かが含まれていると感じた。
それはアイリスも同じだった。
メリーを救うためには自分を頼ると分かっていたのと同じ、間違いなくこの手段を受け入れると分かっている。
そしてハートレスは彩斗が全ての必要な情報を閲覧したと知ると、ルーズリーフとペンを差し出しながら彩斗を動かす一言を口にした。

「そろそろ...始めたら?」

『あぁ...構築を始めるよ』

彩斗はそれを受け取り、ペンをノックした。
するともうスピードでルーズリーフにペンを走らせた。

「ハートレス...一体これは...」
「この子はね、ディーラーの施設内でも優れた知能を持っているわ。自分自身の脳にシンクロすることで得られた並外れた集中力、優れた記憶力、幼少の頃からディーラーに叩き込まれた膨大な知識、それらによってこの子はある種の演算装置のような役割を果たすことが出来る」
「演算装置...」
「もし多くの人の脳にシンクロしながらこの力が使えれば、仕組みとしてはスーパーコンピューターに近い。だからディーラーは人間の脳をリンクして使える次世代型コンピューターの研究をしているのよ」
「ちょっと...そんなこと...」
「心配せずとも今の彩斗には全く聞こえてないわ」

彩斗の脳は自分自身の脳にシンクロし、他の音も景色も目には入らない。
瞬く間にルーズリーフには学校の見取り図が描かれていた。
そしてそれを彩るようにあらゆる文字、計算式、記号が付け加えられていく。
移動経路、予想される敵の数、WAXAの行動予測、必要となる物資、所要時間など行動する上で必要な情報ばかりだった。
アイリスはその様子を見て正直恐ろしくなっていた。
一瞬、「プラスチック爆弾」と書かれて
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