憎悪との対峙
25 冷血の構築者
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いるわ。指紋、網膜で廊下から認証ルームに入れる。そしてそこでパスワードを入力することでサーバールームに入れるわ。ジョーカープログラムは138番のサーバーに入っている。でもセキュリティはそこそこの強度だから敵が未だに退散しないところをみるとまだセキュリティの解除が出来ていない、つまりジョーカープログラムはまだ盗まれていないってことになるわ」
「そうだね。多分、手に入れたら脱出を図るだろうし」
「でもあなたなら出来るでしょう?クラッカー『シャーク』?」
「!?...知ってたのかい?」
「知ったのは数日前だけどね」
彩斗はハートレスが自分の裏の顔を知っていたことに驚きつつも表示されている学校の見取り図を完全に暗記していた。
自然とアイリスと目が合う。
アイリスはどことなく申し訳なさそうな顔をしていた。
特に設計、階段は螺旋状と美術系の学生も多いために普通の学校には無い美しい構造となっている。
他にも障害者用のスロープや点字ブロック、エレベーターも完備されている。
そしてシステムの構造、その脆弱性はすぐに思い浮かんだ。
だが最後まで疑問が残った。
「で、ここまでで何か腑に落ちないことは?」
「安食は恐らく今もダメージの回復に努めていると思う。かなりダメージを与えられた手応えがあるんだ。でもここを仕切っているのは....別の人間...」
「そう、ここでも可哀相だけどあなたには辛い現実が待ってるわ」
ハートレスはその人物のデータを表示した。
女性のデータ、それも見覚えがある顔だった。
「高垣美緒...高垣...そうだ...ミヤの母親」
「高垣美緒、36歳、旧姓は北澤、身長164cm、体重51kg、デンサン学院大学経済学部国際経済学科卒業後、すぐに今の夫、高垣寿也と結婚、翌年に娘・美弥を出産、その後はFXや株式投資で今の資産を築き、今やニホン屈指の大企業・ニホンI.P.Cエンタープライズの主要株主の1人にまで登りつめ、そしてValkyrieのスポンサーであり幹部として今に至る」
「彼女は自分の娘が自分たちが武器を売ったことで傷ついたと知っているのに...懲りずにまだこんなことを....」
彩斗の拳が固く握られた。
激しい怒りが沸き起こり、思わずテーブルを叩いた。
先日のやりとりが思い出されただけではない、娘が傷ついても側にいるどころか、娘と同じような境遇の子供たちを増やそうとしているのだ。
その時、アイリスが彩斗の拳を握る。
「落ち着いて、サイトくん」
「ゴメン...」
アイリス自身も軽薄だと思った。
この事件の当事者でも無い自分が当事者である彩斗の憎しみを理解して落ち着けなどと軽々しく言う事自体がおかしい話だ。
普通なら彩斗に逆に咎められてもおかしく
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