憎悪との対峙
25 冷血の構築者
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「あら?思ったより早かったわね?」
「....」
彩斗はアイリスと共に階段を降り、2階のリビングルームへやって来た。
大きめの窓から見える景色は何度か見たことがあった。
いつもハートレスのガヤルドの助手席から登校中に見ていた家の庭だった。
家庭訪問やらの時だけ訪れては去っていくという戸籍上、登録された偽りの家。
だが不思議と親しみを持てた。
彩斗は冷蔵庫に入っていた板チョコを取ると包み紙を破りながらハートレスが座っている窓際のテーブルの向かい側に座った。
コーヒーが置いてあり、自分が座るようにハートレスが用意していたのだ。
彩斗はチョコレートをかじり、砂糖を大量に入れたコーヒーで数日ぶりの糖分を補給し、ようやく口を開いた。
アイリスは2人の間の距離というものに少し緊張感を覚えていた。
彩斗もハートレスも出来る事ならどちらもお互いを頼りたくはないのだ。
「アイリスちゃんから少し話を聞いたよ。彼女のお陰で僕は安食の攻撃の影響から救われた。そして体の傷は」
「あなたが自分で治した。まるでゾンビみたいにね」
彩斗は少し顔をしかめ、再びコーヒーを啜る。
流石に自分でも理解していたが、ゾンビに比喩するというのはあまりいい気がしなかった。
「手を貸して欲しい。情報、戦力共に不足している今の僕ではメリーを救える可能性は限りなく低い。だが...君の助けがあればその可能性を向上させられる」
「いいわ。でも条件がある」
「奴らから先に奪ったジョーカープログラムは君に渡すこと、だね?」
「そう」
「じゃあ協力するにあたって、僕からも条件を出す。これからの作戦はキングを筆頭にした他のディーラーメンバーには他言無用にすること」
「...いいわ」
ハートレスはそう答えながら目の前のMacbook Proのキーボードを叩いた。
そして本体を回転させ、彩斗の方に向ける。
「?ネットは使えないはずじゃ」
「これはディーラーの衛星回線を使って海外のネットワークを使っているの。もちろんこの衛星通信装置は他の機器で検知することは出来ないから、Valkyrieに目をつけられることもないわ」
確かに表示されているページはドイツ語だった。
見出しは「Auf Tauch in Japan Internet herunter Staatskollaps oder eine Frage der Zeit?」。
「ニホン インターネットダウンにより株価暴落 国家崩壊は時間の問題か?」といった意味だ。
どうやらニホンのインターネットが使えなくなったことによって数々のパニックが起こっていると報じている記事らしい。
そしてハートレスはウィンドウを切り替え、説明に入った。
それは才葉シティのマップだった。
「さっきの続きから話
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