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少年と女神の物語
『痔を治す河童』編
第七十八話
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『というわけなんだけど、頼んでもいいかな?』
「そうだな。とりあえず、護堂じゃなくて俺に頼んできた理由を教えてもらおうか」
『なんとなく、武双に頼むのが正解だと思ったんだよ』

 心地よい秋晴れになりそうな九月の土曜日の早朝。
 俺は久しぶりに馨から連絡を受けたと思ったら急にたのみごとをされた。

「そういえば、少し意外だな」
『何がだい?』
「いや、この間恵那が来たときには形だけとはいえめんどくさい口調になったんだよ。それで、馨とかの昔なじみに会ったら毎回こうなのか、って少し面倒に思ってたから」
『ああ、それについては無い方が機嫌を損ねずに済むと思ってね。間違ってたかな?』
「いや、大正解だ」

 そのあたりの配慮をしてくれるというのは、凄く助かる。
 だけど、こんな時間に・・・四時に電話をしてくるのはやめて欲しい。

「・・・じゃあ、もう一回話を纏めるぞ」
『うん、どうぞ』
「明朝、愛知県で河童の群れが目撃されたと」
『そうだね』
「慌ててネットの方は消し、本人の記憶は部下に消させた、と」
『変に騒がれても困るからね』
「とはいえ、きな臭いからちょっと見てきてくれ、と」
『そう、それで全部だ』

 はぁ・・・また面倒ごとだ・・・

「今回、梅先輩を通さなかった理由は?」
『間違いなく心配するからね。文化祭もあるみたいだし、生徒会の仕事も大変だろう?』
「ああ、大変だな。それこそ、俺のほうも仕事が大量に有るんだがな!」

 これでも、俺も生徒会役員会計だ。
 文化祭前に仕事が無いわけがない。

「それに・・・見に行くだけなら、甘粕ってやつに頼めばいいんじゃないか?」
『普段ならそれでいいんだけど・・・今回は、御子の霊視も有ってね。調べさせてみたら、河童にまつわる土地で何体もの河童の群れが目撃されているんだよ』
「河童のバーゲンセールか?」
『こっちからしたらぞっとしないね』

 まあ、河童自体が水神とされてた時代すらあるからな。
 今はそうでもないけど、水に関わる神が出てくる触媒になりかねない。

『そう言うわけだから、ちょっと行ってきてくれないか?多分、河童達を率いている長が、水神の類じゃないかと思うんだよ』
「何で水神限定なんだよ。山の神でもいいだろ」

 河童には、秋になると山に登るという説がある。
 だとすれば、今はもう秋といえる時期だし、それもアリじゃないのか?

「それに、さ。俺たちは最悪のケースしか考えてないけど、まだ神は出て来てない可能性だってある。河童自体が河童を率いてる、とかな」
『それが一番安全でいいね。こっちとしても、事後処理が少なくて済みそうだ』

 ・・・神とカンピオーネの戦い。
 その事後処理に一体いくらかかっているのか・・
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