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少年と女神の物語
第七十七話
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では・・・龍はいなくなり、代わりに真っ白な馬がそこにいた。
 なるほど・・・オオナマズ見たく、姿を変えてきたか。

「・・・その姿、お前が最古の龍と縁深いからなのか?」
「さて、どうであろうな?戦場で知ることではなかろう!」

 そう言いながら玉龍はこちらに突進してきて、俺は雷を食らう。
 古代、素早く駆ける馬は雷に比喩された・・・・それで、か・・・!
 雷を食らうなんて、いつぶりだろうな!

「さあ、まだまだ行くぞ!」
「懐かしいけど・・・さすがに、二回も喰らうわけには行かないなぁ・・・」

 そう言いながら手を開き、ゲイ・ボルグを再び形成して構えて・・・

「神槍、絶刃!」

 玉龍ごと、上に弾き飛ばす。

「ぬぅ!?」
「悪いけど、一気に決めさせてもらうぞ!」

 そう言いながら両腕の二振りを投げて突き刺し、動きが鈍ったところでとどめのためにロンギヌスを構える。

「ク・・・ッ!せめて、この世界から出ることさえ出来れば・・・!」
「させるわけねえだろ。お前は、ここで死ね!」

 逆手に構えた槍を引き、

「聖槍に宿りし狂気よ。今ここにその力を現し、我が敵を貫きたまえ!願わくば、狂気によりて怨敵を誅さんと欲す!」

 そして、ロンギヌスはしっかりと玉龍を頭から貫いて・・・玉龍の体が砂になって崩れていくのと同時に、俺の背中に重みが加わった。

「これで、後は・・・!」

 俺はそう言いながら権能を解除し、元の世界に戻る。

「お、武双。帰ってきたか」
「ああ、中々に刺激的な体験だったよ・・・向こうは、どうなってる?」

 両手両膝を地面についていたのだが、俺は無理矢理に体を動かして立ち上がり、リズ姉に問いかける。
 体内から液体が消えていたのが急に戻った関係だろうか。体の内側が重傷だ。

「ああ、それなら・・・」

 リズ姉がそう言いながら指差した方向を見ると、スミスが殲滅の焔を使おうとしていた。
 このまま何もしないのも癪だな・・・よし、俺も参加させてもらおう。

 そう決めたら無理矢理に立ち上がり、肩当と杖を装備する。

「雷よ、天の一撃たる神鳴りよ。今この地に破壊をもたらさん!」

 杖を掲げ、天を仰いで言霊を唱える。
 ゼウスの権能を完全解放する言霊を。

「この一撃は民への罰。裁き、消し去り、その罪の証を消滅させよ。この舞台に一時の消滅を!」

 今回はいつもと違い、大量に降り注がせていた雷を一つに纏めて狙った場所にだけ落とすイメージを持ってみた。
 掌握が進んだおかげか上手く行き・・・スミスの殲滅の焔が落ちたのと寸分違わぬ位置に雷は落ちてくれた。
 ま、強力はこれで十分だろ。

「・・・武双、こっち向け」
「え・・・ん!?
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