第十五話
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同盟軍を追いフェザーンへ到着した帝国軍本隊は軍事行動を中止せざる負えなかった。
帝国の軍人、文官ともに現地にいたがその人数は激減しており、また重要な役職にあった人はほとんどいなくなっていた。同盟による統治もなく、当然フェザーンの傀儡政権もなくなっていたため、フェザーンはほぼ無政府状態に陥っていた。
帝国軍本隊に同行していた「旧同盟領」を統治する予定だった人員の第一陣がフェザーンの統治を回復するために行動を開始した。その中には帝国軍、政府の中枢である皇帝も含まれている。
艦隊に配属されてもう何百回も繰り返した言葉を、同盟軍総旗艦リオ・グランデの操縦士が着任したばかりの時の緊張した声で言った。
「ワープアウトします」
「イゼルローン回廊を抜け同盟領に入りました」
それはヤンが立てた作戦が一応の終わりを告げる言葉だった。
「FTL(星間通信?)をハイネセンに繋いでくれ」
ヤンは本国との通信を取った。ひとまず作戦は終わったとはいえ帝国軍が予想外の行動をとっている可能性がある。数秒後ハイネセンの国防本部との通信が繋がった。
「ヤン提督、作戦は成功だ。帝国軍は撤退したよ」
「ありがとうございます、ビュコック提督」
いくつかの言葉を交わしヤンは通信を切った。
「ヤン提督、私からも作戦の」
ヤンが振り向きざまに通信を切ったとき、なぜそこにいるのかホアンが祝辞を述べようとしていた。ヤンはそのことに気が付いたのか気が付かなかったのかわからない。少なくとも副官は気づいていたようではある。
同盟軍本体はイゼルローン回廊にいたパエッタ提督率いる分艦隊と合流し、首都ハイネセンへ向かった。
軍人の仕事は終わった。けれども政治家の仕事はこれからが本番だろう。帝国が何らかの形で停戦に応じるだろうことは間違いないが、万が一のことも考えてもう一度艦隊が動ける予算を整えること。帝国がすぐさま停戦に応じるようなら国境や通称規定、さらには同盟国内にあるフェザーンのダミー会社の扱い。いくらでも仕事は残っている。
しかし自分は政治さえ考えていればいいが皇帝は大変だな、とホアンは無責任にそんなことを思った。同時にまあ同盟を併呑したらそれはそれで大変だろうがとも
第二次ラグナロック作戦終了の数か月後、帝国・同盟間停戦条約が結ばれる。同盟はもとより、帝国も内政に重点を置かざるを得なくなった結果だ。お互い財政的な問題よりも、人的資源の枯渇によるものが大きく半世紀は経たなければかつての戦力を保持できないだろうというのが一般的な見解である。
ユリアンが地球から入手した詳細なデータから地球教徒の全容が明らかになった。帝国・同盟ともに地球教徒は仇敵であり、かつての人類史上最悪の麻薬と称されたサイオキシン麻薬の摘発と同様に両国合同で
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