閑話 賢い息子
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かき混ぜる。
「あの子はいまどこにいるの」
「カプチェランカという惑星だ」
そう呟いて、ロイドは一瞬迷う。
しかし、すぐに作り笑いを浮かべれば、
「田舎で何もない場所だと嘆いていたよ」
からからと笑ったロイドを、エレンの強い視線が止めた。
表情に怯えを見せて、言葉を出した。
「相変わらず嘘が下手ね、ロイド。前線なのね」
「ああ。最前線だ」
「そう……ごめんなさい」
震える声で、エレンは謝罪を口にした。
「君が謝ることはない」
「あの子の事は良く知っているわ。私が出ていったから、あの子は」
「それは違うぞ、エレン」
次にエレンの言葉を塞いだのは、ロイドの言葉だ。
力強い言葉とともに、震える両手を握りしめてロイドはもう一度違うと言葉にした。
「あいつは例え君がいても士官学校に入っただろう。入学する前に、そう私は聞いた」
「なぜ?」
「それがわからないそうだ。あいつにも分からない事があるらしいな」
冗談めかして笑うロイドに、エレンの震えがおさまった。
笑うロイドに、エレンの表情も崩れて、笑った。
泣き笑いとも言える表情だったが、確かに二人は笑いあった。
『続いてのニュースです。自由惑星同盟軍の発表では、惑星カプチェランカにおいて、銀河帝国軍の侵攻を受け、多くの死傷者が発生したようです。この戦いでの死者は――』
二人の笑顔が凍りついた。
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