暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
こうして、比企谷八幡の最後の日常は幕を閉じる。
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変化をまざまざと見せつけられたような気分である。
とはいえまあ、一年だ。マンガじゃ弱小野球部が甲子園にいくのにも充分な時間である。それだけの日々俺は奉仕部で過ごしたわけで、それはおそらく、俺の人生の中で最も他人と触れ合った一年だった。
様々な価値観に触れて、人の好意というものを知って。言葉にするほど楽なことではなかったが、それでも他人の悪意ばかりを身に受けていた俺にとっては貴重な経験だったのだろう。
なら。そんな日々を与えてくれた奉仕部が、俺の中で大きな存在になるのは当然のことなのではないか。
とはいえ、それを認めるのは癪だ。だってほら、絶対先生勝ち誇った顔するし。
「…………別に影響があったとは言って無いですよ」
苦し紛れの言葉に平塚先生はふっと頬を緩ませた。
「クリスマスのイベント以降、部の方でも上手くやっているようだし、君も随分と更生してきたじゃないか」
「更生って…………先生、何度も言いますが、俺は自分の生き方が間違っていると思ったことなんて一度もありません」
先生は、あーはいはい、なんて適当に相槌を打ってくる。それが妙に苛立って、俺は仕返しとばかりにふと思ったことを口にする。
「クリスマスといえば、先生イベントの方に掛かりっきりでしたよね。あのあと誰か良い人は見つかったんですか?」
「比企谷ぁ!歯を食いしばれっ!!」
「ギャフッ」
当然のごとく沈められました。こうなるんじゃないかって予想はしてたんですけどね。
………あれ、もしかして俺ってM?
やっとこさ職員室から解放された俺は、特別棟の階段を登り奉仕部の部室へと向かった。
卒業式も終わり、ガランとした校内に差し込む斜陽が侘しい。窓から吹き込む未だ冷たい潮風に肩を震わせつつも、一つの扉の前にたどり着く。
軽くノックして扉を開くと、部屋の主たる雪ノ下がいつもの位置で本を読んでいた。
ピンと伸びた背筋に、陽の光を浴びて艶やぐ黒髪。絵画のようだという感想は今も変わらない。
初めてここに来た時のように、見惚れることはもうないけれど。今は、その変わらぬ姿に安らぎに近い感情を覚える自分がいた。
彼女は俺の存在に気付くと、紙面から少し顔をあげた。
「あら…誰かと思ったら、比企谷くんだったの」
…………なんでそんなあからさまにガッカリした顔するんだよ。理由なんて大体わかるけど。
「悪かったな、由比ヶ浜じゃなくて」
「いえ、別に由比ヶ浜さんが来ることを期待していたわけではないわ。単純に、あなたの眼がいつもよりも少し腐っていた気がして面倒に思っただけ」
「相変わらずナチュラルに罵倒混ぜてくるよな、お前」
やっぱさっきの発言取り消しで。こいつといても安ら
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