第13話 出会いの裏
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否定の意志をきっぱり伝えたクルトの脛を、アリアは自分の脛で思いっきり蹴った。
「「うごおおおおお!!」」
そして、お互いに痛みで悶絶していた。
どこからどうみてもただのバカな男女二人組。バカップル。
が、そんな二人の内の一人、クルトの耳が、不自然な音を察知した。勿論はっきり聞こえた訳じゃない。微かに。そう、幻聴のような不確かなもの。そんなレベルのものだ。
けれど、クルトはその音を、無視出来なかった。
「アリア、何か聞こえないか?」
と、尋ねるが、純粋な聴力ではクルトはアリアの遥か上を行っている。
「???。別に何も聞こえないわよ?」
案の定、アリアは疑問符を浮かべるだけ。が、クルトは今度は耳にオーラを集中させて、音を探る。強化させたクルトの聴力は、今度こそ明確に不自然な音を聞き取った。
アリアもクルトが耳にオーラを集めている事に気付き、同じようにしている。
「今度は聞こえたか?」
クルトが問う。
「ええ。ばっちりよ。この音は……車……にしては小さすぎるわね」
「恐らく二輪車だろ。これは……セグウェイっぽいな」
ウウィィンという音が、一年程前にロンドンで聞いたセグウェイの音に酷似していた。
「ああ……。確かに言われてみればそんな気もするけど……。でも、それがどうしたのよ?武偵校が近いんだからセグウェイ乗ってる変な奴だっていてもおかしくないでしょ?」
その言い方はどうかと一瞬思うクルトだが、まあ、アリアの意見が正しい。
しかし、クルトにはどうしても無視できない理由があった。
「なあアリア。覚えてるか?“武偵殺し”の手口」
「当たり前じゃない。武偵が乗ってる車なんかに爆弾を仕掛けて自由を奪った挙句、マシンガンの付いたラジコンヘリで追いかけて海に突き落とす。でしょ?それが今のセグウェイとどう関係してるっていうのよ?」
「いやだから、セグウェイにマシンガン付ければいけるだろ」
「は?セグウェイの速度はたかがしれてるじゃない。そんなんじゃ車を追い駆けるなんて到底無理よ」
基本スペックとして、推理力皆無のアリアはまだ気付かない。
なのでクルトは順序立てて説明する事にした。
「じゃあ、もし仮にセグウェイにマシンガンを取り付けて、何かを追っていると仮定する。そこで、先程俺達が聞いた音を思い出すと、聞こえたのはセグウェイのエンジン音だけで、それ以外は聞こえなかった。ってことは、セグウェイはエンジンがない何かを追っている事になる。エンジンが無く、セグウェイの速度でも十分追い駆けられる乗り物と言えば―――」
「あっ!自転車ね!」
「ああ。そしてこの付近には武偵校の男子寮がある。七時五十八分発のバスに乗り遅れた男子生徒が、
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