第13話 出会いの裏
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教務部に転入の挨拶をしに行ってから数日後、クルトは東京武偵校の男子寮で朝を迎えた。
あの後、男子寮へと入寮手続きを行い、引っ越しを行ったのだ。
引っ越しと言っても、荷物等殆ど無いに等しいものだったので、すぐに終わったが。
「良い朝だなー。……こいつがいなければ…」
最初は清々しく、しかし次に苦々しい表情でそう呟く。
クルトの視線の先…、つまり仰向けになっているクルトの上にはピンク色の髪が目立つ、クチナシを香りを放つ絶世の美少女、神崎=H=アリアが寝息を立てていた。
(また潜り込みやがったのか…)
これで何度目だよ。と、内心で呆れかえるクルト。
そもそもアリアは女子寮に自分の部屋を持っているのにも係わらず、クルトの部屋に入り浸っている。
いや、最早住んでいると言って差し支えない。
アリアは日本に来てから自分の部屋に入った事が一度だってないのだから。
ちなみに光熱費等は、クルトとアリアが半分半分で支払っている。
―――な、なんかど、どどど同棲っぽいわね…。
と、アリアがとっても嬉しそうに呟いていた事をクルトは知らない。
「とりあえず起きるか。今日から学校だしな。おいアリア!起きろー」
言いながらクルトはアリアの身体を揺する。
「ん……ねみゅい……」
「眠いのは分かるが起きないと学校に遅刻すんだろ。さっさと起きろ」
「んー、うっさいわねー…」
ようやく目を覚ましたのか、少しだけ不機嫌ながらも、アリアはもぞもぞとベットから這い出る。
ベットから出る時、手を淵に掛け損ない、「ふにゃっ!?」という声を出し、床に顔面を強打していたが、クルトはとりあえず無視してリビングに向かった。
ご飯を作るのはクルトの役目であった。
アリアの家事能力は「お前本当に女子?」と言う程に低い。なので必然的にクルトが作る事になるのだ。
勿論その事に関してクルトは文句を言わない。
(料理は嫌いじゃないしな)
過去は暗殺者、そして今は武偵。
どちらにせよ殺伐とした毎日を過ごしているクルトにとって、料理というものは、数少ない「普通」を感じれるものだった。
結果、気が付けばクルトは「趣味:料理」と言えるくらいには料理が好きになっていた。
ちなみに今日の献立はトーストにオムレツ、ウインナーにマッシュルームのソテー。そして飲み物にオレンジジュース。
それらを慣れた手つきで作り上げていく。
それ相応な期間やってきただけの事はある程、見事な手際である。
「ふあ〜、おはよう…」
朝食が出来上がったと同時に、アリアが寝室からやってくる。
既に制服に着替えており、髪をキレイにとかしており、アリアの代名詞ともいえるツ
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