第八章
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第八章
「その試合もまた」
「試合もですか」
「それもなのですか」
「はい、試合もです」
それもだというのだった。
「見せてもらいましたし」
「それで」
「私達の中に騎士道精神とやらをですか」
「正々堂々と卑怯なことはせず」
こう話す。
「相手を尊重して戦うことがです」
「それが騎士道精神」
「そうなのですか」
「スポーツマンシップとも言いますか」
卿はこの言葉も出した。
「確か。日本では武士道でしたね」
「これはラグビーですが」
「それでも武士道があるのですか?」
「そういうものですか?」
「騎士道は何にでもあります」
卿は騎士道から話した。
「そう、茶道にもこのラグビーにもです」
「だからですか」
「それで」
「日本の騎士道ですね」
武士道のことを言っていた。
「そうですね」
「そうなりますかね」
「言われてみれば」
日本側の返答は今一つはっきりしなかった。いぶかしむものだった。
「武士道も騎士道も」
「同じですか」
「はい、同じなのです」
「そうなのですか?」
「あまりそうは思えませんが」
いぶかしむ言葉を出す彼等だった。
「そうですね、それは」
「武士道と騎士道はまた別では」
「つまりはです」
そのロットナー卿が話すのだった。
「正々堂々と正面からです。何事も行い」
「正々堂々と」
「正面から」
「そうです、そして決して卑怯なことはしない」
このことも話した。
「それが騎士道なのですから」
「武士道もそれは同じ」
「そうだからですか」
「そういうことです。日本にも騎士道はあります」
卿はこう言い続ける。
「そのことを見させて頂きました」
「納得してくれてるみたいだな」
「そうだな」
日本側はとりあえずそれでいいのではないかと思った。
それで特に強くは言わなかった。興がそれで納得しているからだ。
それに彼等にしてもだ。考えてみるとだ。
「その通りかな」
「そうだよな」
「一応そうなるよな」
何となくだが納得したのであった。
そしてそのうえで交流を続けた。双方にとって満足すべき結果になった。
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