第二部 vs.にんげん!
第21話 もう、いいよ。
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日が多少前後する。前倒しになるかもしれんから、用があってこの町に来た奴は急いだ方がいい」
話題が柱の件からそれ、空気が和らぐ。ノエルが呟く。
「開門日……あたし達がここに来てから、もう半年が経つのね……」
「ああ。ただし、外の状況が状況だ、今回は新人の受け入れはない」
「出る事はできんだよな?」
と、パスカ。
「勿論だ。まあ、カルスを出てもあまり良い事はなさそうだがな。あくまで噂だが、外界の魔物の出現は、カルス関係者が欲にまみれて荒稼ぎしたから天罰が下ったんだって言い立てている連中がいるらしい。他にもカルスの連中が魔物を逃がしただの、カルスに行った事のある奴から魔物化するだの、散々な言われようだ」
「魔物化? どういう事ですか?」
アーサーが顔を上げた。
「壁新聞の情報によれば、人間が突如魔物に変化するってこった。かなり信用できる筋の情報だ。新聞を書いた奴が、この目で見たと言っている」
「さらっと恐ろしい事書いてあるんだな」
ウェルドは気を取り直し、言った。
「考えるよ、おっさん……あんたの言う通り」
「そうしろ。ただあまり時間がない事は忘れるな」
「なあ」
思い切って顔を見た。太く逞しい首の上についている顔は、精悍で、強さを漲らせ、目には思いやりが満ちていた。
「どうして俺に優しくできるんだ? 俺はあんたを殺したんだぞ」
「殺した? そいつはおかしいな。俺は今、ここにいるぜ」
バルデスは笑みを浮かべ、階段を上がって行った。
食堂には仲間たちが残された。
誰も動かない。
ウェルドが最初に食堂を出た。
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